鯨のベーコン
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ライカギャラーから祇園路地奥の居酒屋に移動し、気心の知れた友人らと雑談。熱燗はよろしいな---
おでん盛り合わせ
まぐろすき身
はもと水菜の炊いたん
Leica Gallery Kyoto
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大人気の写真家ソール・ライター(1923-2013)のヌード写真を祇園のライカ・ギャラリーで拝見した。レセプションで挨拶をされた財団のマーギット女子は「小さなスケールの親密な空間で見せるのを彼は好んだ」と言う。1950年代を中心にした親しい女性たちをとらえた写真群は魅力的で、友人のMさんなど「幸せな写真だ」と絶賛されていた。
幾度もの震災や停滞の続く経済の不幸な時代に、写真家であることは、自身をすっかり不幸にさせてしまうもので、「仕事においても」生きるための幸福な写真の系列があってもよいと思う。「身近な幸せ」を写真でつないでいければと、わたしは思う。ライターのエロティクなモノクロ写真の世界、印画紙に躍動を与える描画の色彩に、荒木のそれとは違う、幸せを思う。
11日はマーギット女子の誕生日にあたり、お祝いのサプライズ。京都の夜は盛り上がります。
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展覧会は3月5日(火)まで
18×20cm 頁表記なし。定価1,800円
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昨年末、京都写真展の会場で名古屋の写真家から名古屋女子大学写真部OGが上梓された写真集『郡上』を見せてもらった。発行は2016年1月15日となっているが、撮影は48年前の1968年から1970年頃のものだと云う。ブレ・ボケ・ハイコントラストで捉えられた写真群は『状況1965』や『状況1966』などの「連盟調」といったものだが、時代の熱気、彼女たちの「青春」を色濃く反映している。喫茶店・マイネクライネや全日合宿などで眼にしたであろう50年近く埋もれていた「集団撮影行動と名ずけられた」写真が表に出てきた。同じ時代に同じように写真と取り組んでいた者としては、非常に嬉しく涙モノの快挙と言いたい。あとがきには「そして48年という時が過ぎ、人生でのそれぞれの役目が終わろうとしている年齢になり、日本の写真の歴史の1つとして、写真集という形を残すことにした」とある。女たちにも男たちにも「それぞれの役目」がある、あった、まだまだある、----なんと言えばよいのだろうか。埋もれていた写真の復活は、それぞれの人生の、まだまだ続く葛藤の再燃の問題を孕んでいるとも思う。わたしとしては手軽に写る携帯端末の写真を活用しながら、写真を楽しむ道----若い友人たちの限定数部の廉価なデジタル写真集の上梓など---があることを分かち合いたい。
今秋には、名古屋市美術館でOGのどなたか(小生の撮ったネガの中の人)と再開できることを願っている。
ネット検索によると、本書は国立国会図書館、及び、東京都写真美術館などに所蔵されている。
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今年の鑑賞スタートは、本日から国立国際美術館で催される(3月15日迄)1920年代のロシア・アヴァンギャルド映画のポスター展示。1930年代に「ソヴィエト映画の日本への輸入や配給に携わった袋一平」が記念に持ち帰ったポスターを中心に氏のコレクション(115タイトル、140種程度)から10点を選んで展示されている。これは国立映画アーカイブ(NFAJ)が所蔵するポスターをデジタル化したもの。近年の技術発展にともなう高精度複製品による展示で、オリジナルが劣化しやすい状況から、あらたな活用の幅を広げる高企画であると言える。NFAJの映画資料はフィルムだけにとどまらず、ポスター、チラシ、プレス資料、機材、書籍と広範囲に渡るそうなので、非常に期待が持てる、今回のようなポスター類はおよそ59,000点所蔵されていると云うから、ますます、楽しめるのではと期待を持った。(マン・レイについては、来阪されている担当者の方に照会をお願いした)----でもね、デジタル複製ですよ、注意されたし、「自分の眼を甘やかさないように」、そればかりを願います。
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オープニングレセプション(三展示合同)終了後、遠来の客人と御堂筋線淀屋橋へ移動。今年も忙しくなりそうです。
お茶をよばれて
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昨年末南青山の日月堂を訪ね、「エフェメラ愛と中部学生写真連盟」の話題で盛り上がる、毎回Sさんの話は面白く、元気を沢山いただいた(感謝)。その日月堂が参加する「銀座 古書の市」が4日〜8日まで 松屋銀座8階のイベントスクエアで開催される。訪問時はカタログを送られた直後だったので、問い合わせの電話などが入り、こちらも、ソワソワ。商売繁盛が一番健康によろしいですな(笑)。
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下記カタログは214頁のすぐれもの。参加17店(関西からも3店が参加されている)。鎌倉の公文堂書店が瀧口修造の『扉に島影』を出品されているが、小生の収集領域とドンピシャが無くてよかった(ゴメンナサイ)。
25.7×18.2cm
17歳の写真から
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恥ずかしながらの誕生日。写真は半世紀前(1969年8月21日)の倶知安機関区、ネットの情報によると「79618」は1923年の川崎造船所兵庫製造、北海道で運用され撮影時は前照灯を二つ持つ胆振線用、1975年廃車。同機は北海道の重装備9600として人気があり、Nケージの鉄道模型(マイクロエース製)で復活(?)している。
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二十歳を過ぎてからマン・レイに狂ったけれど、アプローチの仕方は撮り鉄時代と同じと思っている。そんな事にも今年は言及したい。
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若い友人、幼い友人に祝っていただき、白水社の新刊『龍彦親王航海記』(磯崎純一による評伝、澁澤龍彦)をプレゼントしてもらいました。最近の読書傾向は時代とともに生きた先人の一生を追体験できる「評伝」、おそらく、70歳以降に予定する銀紙書房本執筆に続くと思います。
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本年最後の収集品はカメラファン別冊「ヴイナス 世界ヌード写真傑作集」(1951年3月刊) 25.8×18.1cm。東京都写真美術館でコピーをした時、表紙欠だったので日本の古本屋で検索したところ、めでたく見つかり到着。マン・レイの裸体写真は1点の紹介(全48点)なれど、金丸重嶺の論考「写真芸術としてのヌード」の中に、マン・レイのヌード感を伝えるエッセイの邦訳が掲げられている。この「FORMES NUES」(1935年)の一文は拙著『マン・レイと彼の女友達』(1978年)で訳出していたものだから、懐かしくて求めた(刊行時に金丸訳未見)。
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西院・春日神社
[2019年回顧-2]
昨日は今年の楽しい出来事をいくつか報告させていただいた。時代は「令和」の御代となり、この国の安寧を強く願っているところだが、京都アニメーションの放火事件や台風による大雨被害など悲しい事も沢山あった。政治には距離を置く立ち位置であるとしても韓国や香港など世界の動きが日本に与える影響も大となるように思う。
そして、特に個人的に衝撃を受けたのは、3月にモンパルナス墓地にあるマン・レイの墓碑が酔っぱらいによって破壊され→ マン・レイの墓が壊された!!、翌4月に起こったノートルダム大聖堂の大規模火災、尖塔や屋根の崩落を新聞やネット配信で見ながら、この世の終わりを思った→ ヨーロッパ世界の終焉。大きな転換期にある世界の象徴的な出来事だった。
来年も大きな変化に見舞われるだろう、心して対処せねば--- と言いつつ熱燗一杯に年越しそば、平凡な大晦日を迎えることの幸せを感じている。