2005.5.1-5.31 マン・レイになってしまった人

May 28, 2005
  
昼を過ぎて、これから名古屋に帰ります。数日、銀紙書房新刊の最終章に取り組んでいるのだが、劣等感にさいなまれ苦労している。新幹線の車中や実家でウダウダ続きをと思うが、さてどうなりますか。外はよい天気。平日の夜が書けない身体(ビールを止めれば良いだけだけど)になってしまったので、休日は貴重である。
   
   
May 23, 2005
  
昼休みに新聞を読んでいてショック受けた。関西日仏学館が「図書室で所蔵できない本の再利用」のため、蔵書の古本市を土曜日に行ったと云う。3500点が200円から500円で販売との記事なのだからあんぐり。知らなかったのだ。ポール・クローデル文庫にはシュルレアリスム関係の古い稀覯本も多く、30年来利用してきたのに、ブルトンやエリュアールやアラゴンの初版はどうなっただろう。カイエダールやミノトールはと涙ぐむ。
   
  
May 22, 2005
  
終日の雨。こもっての原稿書き。しかし、上手く進まない。最終項は足踏が続きマン・レイの姿が現れるまでには、まだ何枚も書く必要があるだろう。○○論とエッセイの間でゆれる毎日。強敵を相手に戦略が可能だろうかと自問する。座敷の掛け軸を変え気分転換をはかるが、うだうだとした午後を過ごし、紫陽花の葉にとまる雨の滴を眺めている。
 
 夜、インターネットで問い合わせた未知の方から、スウェーデン語の人名と地名表記のアドバイスを受ける。こちらの方はやや進んだ。
   
   
May 21, 2005
  
原稿用紙を買いに駅前の文具店へ。ミニパトが停まって、何人かの婦人警官が出現。不法駐車のモーターバイク取り締まり。10台以上の単車がトラックに乗せられている。くわばらくわばら…………
   
   
May 20, 2005
  
会社から駅までの田舎道に高名な建築家(三条高瀬川に達つ建物で知られる)T氏の自宅がある。よくジョギングしている同氏を見かけるが、人物の雰囲気と建物は一致するね。で、そのご自宅東側が鳥羽天皇安楽寺院陵なのだが、西陽が茂みに差し込んで美しい、カニングハムやウエストン等の写真家はこんな光に誘われて森の中に入っていたのだろうかと思えるほど。カメラを持っていないのが残念だけど、----もちろん立ち入り禁止区域---、眼で楽しむのは自由。T氏宅のコンクリ壁面のツタも緑がましている。空も五月で気持ちがよい。明るい間に帰宅できるのは、有り難い。感謝。
  車中で『ナジャ』を読み終える。この引用はしておくべきだろう。「きみがぼくにとって謎だというのではない。ぼくがいうのは、きみがぼくを永遠に謎から遠ざけてしまうということだ。」(アンドレ・ブルトン、峰尾雅彦訳、現代思潮社、1976年刊、150頁)---「マン・レイの謎」そんなタイトルを考えている。
   
   
May 18, 2005
  
食卓には初モノのえんどう豆。それでビールを飲む。野田奈央子(篠原涼子)が「32歳になった女の気持ちなんて」と言っているテレビを見ながら、ブルトンシモーヌの関係や、ナジャについて思う。「家庭と家庭じゃない世界」との事が、ビール頭にも何故か引っ掛かる。
   
   
May 17, 2005
  
銀紙書房新刊の最終単元下調べ、それで峰尾雅彦訳の『ナジャ』(現代思潮社、1976年刊)を読んでいる。ゴツゴツした語彙だけど、ブルトンの語彙との関係はどうだろうか、どの箇所を引用しようとしても、流れ去ってしまうような、不可思議な行間を持った書物。
  
   
May 16, 2005
  
朝の地下鉄車内で女子大生がわたしに微笑んだ。0.001秒の間に何処で会ったお嬢さんだろうと、脳みそフル回転となったのだが、背後の男性に対してだった。でも、美しい女性で、眼が合ったと思ったのだよね。ドキドキした楽しい一週間の始まりである。
   
   
May 15, 2005
  
 
目の前を通り過ぎる牛車。軒から紫の藤の房とカキツバタの花で飾りつけ
          

 上段; 腰輿に乗る今年の斎王代、齋藤彩子さん

 中段; 女人列

   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   


 京都に来てから30年程経つが、葵祭りを見物するのは今回が始めてである。5月15日が休日と一致することはこれまでにもあったのだが、町内の祭りを優先していて、この京都三大祭りへの参加をしていなかった。10時30分に御所を出発との事なので30分程前に到着するようにと出掛けた。御所から出た行列が左に曲がる有料鑑賞席の外れ辺りで見学した。祭りは「古墳時代後期の欽明天皇(540 ~571年)のとき、凶作に見舞われ飢餓疫病が流行したため、天皇が勅使をつかわし「鴨の神」の祭礼を行ったのが起源とされている。上賀茂、下鴨両神社の例祭。 」御所の人達がシズシズと上賀茂、下鴨両神社へお参りされる行列といったものなので、楽曲もなく静かな行列が続くだけのもの。王朝人の姿を人目見たいと背伸びをする庶民の感情といったものだろうか。音がないので、鑑賞には緊張が必要といった印象。この祭りの楽しみは色彩だろうか。正確な色を表現する名詞を持ち合わせていないし、 階級によって決められた色についての知識も無いが、碧、朱、淡紅、橙、黒、紺緑、若草、白等々、衣装の美しさが素晴らしい。持ち物や位について知っていればもっと楽しめただろう。雛飾りの人物が目の前を歩いている感じだね。行列の総数は511人で、通りすぎるまでが1時間程だろうか。

 最後尾の牛車と見物客、天気が良くて、沿道で12万人との事。
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 祇園梛神社行列の先頭は維新鼓笛隊の
 「元祇園少年隊」南下して仏光通りに差し掛かる。

 下段は桧公園で休憩するそれぞれの鉾。
 一つの鉾に六ヶ町程がつらなっている。
   
   
   
   
   
   
   

   

  
 帰宅し雑用をしていたら、「ピーヒェラ・ドンドン」が近づいてきた、急いで外に出て氏神様である元祇園梛神社神幸祭の行列を見物する。祇園会の起源を見る思い。神社の縁起を紹介する文章には「京都に疫病が流行したとき、牛頭天王(スサノウノミコト)の神霊を祀って鎮疫祭を行い、そのときの神輿を梛の林中に置いたことがこの神社の始まりでした。その後に神霊は八坂神社に遷され、その時には住人たちが花飾りの風流傘を立てて、鉾を振り、音楽を奏でながらその神輿を見送ったといいます。」と紹介されている。近くの春日神社祭礼(秋)の差し鉾が起源に近いかもしれないが、こうした梛神社の小型の鉾が大きくなり、台座に乗せられ祇園祭りの鉾となっていったのだろうか。可愛いお稚児さんたちを見ながら、この日にしか顔わ合わせない町内の人達を見るのも面白い。葵祭りと較べると身近で、こんなのが良いな。公園で奉仕をしていた義母は「今日は暑くて、冷たいものが沢山出た」と言っていた。
     

May 14, 2005
  
昼前にHさんご夫妻が手作りジャムを届けて下さる。『日録』でおねだりをしていたのを覚えてくださっていた様子で感謝。我が家の朝食はトーストにジャムだから、明日、さっそくにいただこうと楽しみ。この場を借りて、「工場長様に宜しくお伝え下さい。」

 さて、今日はよい天気で、自転車でブラブラするのには最高。花粉は恐いけど、もうマスクは恥ずかしいので、なんとかなるだろうと、早速に元祇園梛神社にお参り、明日は行列がでる祭礼。コースを変えて三条道りから街中へ。時計のアンティーク・ショップや三月書房等を覗く。府立図書館で、「スウエーデン語の人名表記を確認するべし」だったのだが、上手く見付からなかった。作戦を立て直さねば。でも、捜していた本を借りられたので良しとしよう。その後、『国画創作協会の画家たち』展開催中の星野画廊で榊原始更を三点鑑賞。モダンな要素のある人だと、今日も思った。大丸百貨店地階にも寄って帰宅。入浴してビールを飲んだら、よい気持ちになって、今、キーボードをたたいている。思考は停止していて、指先だけが動いている。
 わたしに、「俳句」は無理だからな-----
  
  
May 13, 2005
  
しばらく『日録』の書込をさぼって、銀紙書房新刊原稿に集中していました。パリの画廊の話題を盛り込んだ35枚程が終わり、いよいよ、最終単元にトライです。明日は図書館で人名表記の確認をする予定。日曜日は葵祭りなのでビール頭になってしまうし、いろいろ段取りしながら進めていきたいと思っている。最終単元こそ、今回の銀紙書房本を書く動機であるので、きちんとアプローチしたい。相手が手強いからね。
 
   
May 9, 2005
  
富山県立近代美術館に巡回して始まる『瀧口修造 夢の漂流物』展の招待状をいただいた。会期は5月28日から7月3日。開会式は初日の9時30分からとの事。チラシは親しみやすく、マン・レイのイメージに繋がる「MAIN-RAIE Grand cru pour MAN RAY」等も紹介されている。
 
  
May 8, 2005
  
マン・レイ三昧の休暇だった。
  
  
May 7, 2005
  
終日マン・レイについての原稿書き。この前からの写真を現像に出し、ホームページに貼り付ける。3月29日、4月14日、20日、22日、5月1日の写真。スムース友の会のスナップも掲載しましたので、お楽しみに。夜ビールの後は、こんな事をゴソゴソしている。
   
  
May 6, 2005
  
マン・レイが出品されたオークションの結果は以下。1ドル105円とすると504万円から2,142万円までの価格。わたしも欲しいと思っていたのでコメントを書き込む力が無くなってしまった。

 STILL LIFE 25,000--35,000 Price 48,000USD

 ADAM AND EVE 35,000--50,000 Price 96,000USD

 FIVE GRAPEFRUITS 35,000--50,000 Price 84,00USD

 ELDERFLOWERS 180,000--250,000  Price 204,000USD

 VIBRATION 20,000--30,000  Price 84,00USD  

  
May 5, 2005
  
昨日は銀紙書房新刊の原稿がだいぶ進んだ。今朝も4時に起きて、書き次いだりしたのち、一眠り。8時になり予定を変更して朝から名古屋へ(結局、岡崎の古書市には行かずじまい)。 移動の新幹線車内で『瀧口修造 夢の漂流物』を再読する。非常に良い天気で熱い。母親、兄と共に昼からビールでヨッパラってしまった。散歩をしたりして連休最後の日を過ごす。マンションの窓を開けっ放しにして風に当たっていたので、花粉が恐い。京都に戻ってきたらムズムズ感がすごい。これでは薬を飲まなくてはと思う。
   
 ニューヨークのサザビーズマン・レイの油彩が沢山出品されたオークションが終わった。就寝前に落札結果をネツトで確認しようとしたが、セッションの第2部門はまだアップされていなかった。結果が気にかかる。
  
  
May 3, 2005
  
近くのディオ・ハウスへ行って朝顔用の土を求め、下準備をする。良い天気の連休である。小さな鉢に種をまく。発芽したら植え替えよう。午後、銀紙書房新刊の準備を進め、新しい単元の構想が纏まってきた。でも、必要な資料が見付からない。咀嚼した後に忘れて、書き進めるのだが、まず、原資料を読まなくては。使おうと思っていたから、別のところに置いたはずなんだけど、なさけない----
 
  
May 2, 2005
  
銀行へ行ったら、両替の人が多く、とても込んでいた。皆さんご商売なのでしょうか?  GWの合間、どこかへ逃げてしまいたいけど、そんな訳にもいかなくて、バタバタと仕事をする。昼休みに京都新聞を読んでいたら、昨日の古書市の他に山崎書店の「第2回手づくり ART BOOK展」が取り上げられていた。こちらの方が紙面ではメインと云った印象。会場写真には(女性の方は知らないけど)、山崎主人ともども林画伯も写っている。会期中にもう一度、のぞいて見よう。
 
  
May 1, 2005
  
クライン文庫の棚
   
   
   
   
   
   
   

本日、初日の「春の古書大即売会」(5日まで、会場は京都市勧業館)に出掛けた。京阪神古書店42店舗の約50万冊。春のフェアーは雨の心配がないので良書が出てくるように思う。わたしの狙い目は京都以外の店で、クライン文庫のシュルレアリスム関係書籍など触手が動いたが、ちと高い。ここで買ってしまうとフランスへ行った時の楽しみがなくなるからと我慢した。その他には吉岡書店にあった状態の良い戦前の「アサヒカメラ」等。でも関心領域が狭いので、レジに運ぶところまでは行かなかった。雨が降りかけたとアナウンスが入ったので、会場で知人を見かけたが声を掛けずに退散した。

 その後、山崎書店での「第2回 手づくり ART BOOK展」を覗く。林哲夫画伯の装幀が洒落た幾冊を手にして楽しんだ。古本を功利的に捜すのではなくて、誕生に立ち会う喜びがここにある。そんな訳で、「Nabe Quest(鍋探究)」2004.1-12/Part1を買い求めた。すむーす堂発行の一冊500円。シリアルNoは22番だった。素敵な色目のホーロー鍋の質感が気持ち良い。ミカンちゃんが描かれたリンゴジャムも美味しそう。「不適な奥さまナベツマの冒険と探求の日々」に幸あれと祈る。
 付録として入っていた[クチン]第23号の三上真知さんの詩が面白い。丁度「夢」に関した原稿をわたしも書いていたので「イヌコログサエノコログサネコジャラシ」からダリに続く上手いオチにまいってしまった。こんな感じが良いな。銀紙書房新刊で、何とか仕上げた「f字孔と鍵の夢」のオチはひねりがたりなかった。---街に出た後、急いで戻り、ウダウダと今までなぶっていたのだけどね。