リーデルグラスでシャンパンを

manrayist2007-05-24

 名古屋市美術館でダリ展を観る。シュルレアリストたちと協調関係にあった年代の小品は良いけど(来日していない)、アメリカに渡りサイズが大きくなるにつれて、イラスト絵画になりつまらなくなってしまう。今回は初期作品を知って面白かった、印象派ピカソ風やミロ風など。ダリは好きな作家だけど、今日はあまり良い印象をもてなかった。展示が大掛かりになっているのに影響された部分もあるだろうし、人々の注目を集め、美術館でライブ映像を流す(夕方の東海テレビで)ほどになると、いやになってしまう。それでも「幽霊と幻影」(1934年)、「風景の中の人物と衣」(1934年)には惹かれた。前者は人物背後の地面にぽっかり空いた処から冥界が始まる印象、後者は雲の形体が男性器を暗示している。資料で注目したのはエディシオン・シュルレアリストが1935年に刊行した「非合理の征服」。版型が思ったより小さいのに驚いた。でも、全体的には落胆した、色情狂ガラが全面に出ている感じかな、彼女がどうも好きになれない。

 そんな訳で地階常設展示の北脇昇「春に合掌する」は良かった。画面に現れる人間性の差だね、ダリ的な作品が日本で氾濫した1930年代、理解の仕方は画家それぞれだが、北脇を3点、下郷羊雄を3点観て、心が落ち着いた。

 その後、遅い昼食にナディアパークの山本屋総本家で味噌煮込みうどんを食す。硬い麺がしばらくして食べごろになる、ふたを裏返し、さましながら、赤味噌だしをすするのは名古屋人の幸せだね。

 でも、ダリ展で眼が不快感となったままなので、愛知県美術館の「若冲と江戸絵画」をも観る事にする。京都国立近代美術館で昨秋観たが、印象はずいぶんと異なった。京都で「梅花猿候図」「三千歳図」「旭日雄鶏図」「鶴図」「寒山拾得図」の5点をお気に入りに挙げていたが、今日は「紫陽花双鶏図」に見とれた、若冲は別格だな。


 栄へ出掛けたこの日の目的はシャンパングラスの購入。松坂屋三越、そのほかの店もまわってみるが、なかなかピンとくるものが見つからない。予算の関係もあるし、結局、三越リーデルシャンパーニュにした。グラスについての知識がないので、店員のNさんにいろいろ教わる。グラスの底に傷がつけてあり、その部分が影響して、発泡性の泡がいつまでもきれいに昇のだと云う。好みはそれぞれだが、女性には背の高いグラスの方が飲む時、顔がうつむきかげんにならず、綺麗に見えるらしい。

 夕食で早速、泡の昇りぐあいを楽しむ。数人で飲むとそれぞれ上がり方が異なるようだ。美味いシャンパンに、マッチしたグラス、何事も奥が深いね。