う桶や「う」の鰻は美味い。

manrayist2007-10-07

 家族そろってお昼を食べに祇園街へ出掛けた。西花見小路を下がってう桶や「う」の味を楽しもうと云う嗜好。一力亭から弥生小路に折れ、左に入ってお茶屋の並ぶ石畳の小路をぶらぶら。店は建仁寺の手前辺り、風情のある店の前で記念写真、そして二階に通される。まず、きも焼きと冷酒で月の桂。硝子の徳利とお猪口は夏の嗜好で、泡の入ったピンク色の徳利と赤いストライプの入ったお猪口、程良い重さで二合の酒を注ぐ。今日の主賓が日本酒好きなのでお付き合い。ビールよりもこの方が良いな。きもの地味は期待の持てる味で、冷酒の吟醸ぐあいもよろしい、しばらくして名代う桶が運ばれてきた。留め具の竹を抜いて取っ手を外し、朱塗りの蓋を開けると、鰻の蒲焼きが敷きつめられている。仲居さんが取りわけてくれる----柔らかな鰻だ、自然の味だね、美味い。脂がのって焼けた香ばしさが信条の名古屋人・鰻と比べると、都人の繊細さはどうだ、この店のは江戸焼きうなぎだけど、本来の味はこうしていただくものなんだろうな。温度が低いかとも思ったが、味を楽しむには適しているのだろう。店の案内には「撰りすぐりの活鰻を、背から開き、焼くと焦げ、味覚をそこなう背びれ、尾びれ、向骨を取り除き竹串で刺し、熊野の備長炭の強火で白焼にする。それを天然水で打ち清め蒸しにかける」とある。冷酒をゆっくりと頂き、家族の世間話。昼からの酒はよくまわる。「昼は外気温が高いから、いや体温が高いから」などとたわいない会話が続く。お代わりをし、きも吸いを頂き、ちょこちょこと冷酒のやりとり、耳が赤くなっていると指摘された。

 食後、甘いものが欲しいと云う女性陣にうながされ、20年振りの鍵善良房へ。店頭には河井寛次郎の焼き物が飾られていて、歴史を感じる。新しい一階の店内は明るく庭には土蔵、休日で沢山のお客さん。奥に座敷があるようで、何組かはそちらに案内されていた。運ばれてくる時に氷の揺れる気配、そわそわとする。よく冷えたくずきりを黒蜜で、喉越しの食感は独特のもの、有名店へ観光客風に入るのも楽しいものだ。良い休日となった。

 ショッピングへ向かう女性陣と別れ、新門前通をぶらぶら。いつもの自転車では素通りだから、覗きながら歩く。浮世絵や古伊万里や朝鮮の雑器、小さな仏様や軸物のいくつか。値札を確認しながら、マン・レイに投資している金額と比較する。わたしの資金で骨董と云う手もあるけど、奥が深すぎるな。いまさら日本美術と云う訳にはいかないけど、生活の雑器として手許に置きたいものが、いくつか見つかってしまう。くわばらくわばら。
 その後、ギャラリー16により。このところお世話になっている坂上さんと世間話。多忙をきわめるギャラリストは、大きく笑いながら「前衛陶芸発生のころ」と題する「四耕会」の資料(21x14.8cm,98頁、ギヤラリー16刊)を示してくださった。彼女の「はじめに」から読みかけたけど、すごい、忙しくて展覧会を拝見できなかったのが残念である。

 帰りに三条京阪のブック・オフにより、クリスティーズのオークション・カタログ(2000年11月)を手に入れる。店内には工場のような機械音とマイクの呼び出し音で気分の滅入る、ここでは文化じゃなくて経営、カタログは1000円だったから普通の値、こうしたカタログ京都で見付ける機会は少ないから、チェックしなくちゃならないな。続いて、メディア・ショップ、無印良品ジュンク堂と覗いて帰宅。女性陣と同じ時間となった。