ギャラリー16と小林祐史写場

manrayist2007-11-10

 片付けた植木鉢の中から朝顔の双葉が出ている。異常気象の影響か、雨が降る前触れなのか温い。午後から出掛け、今週、移転されたギャラリー16(註)を覗く。地下鉄東山駅から左に折れ三条北裏通りとの突き当たりにあるビル、大きな看板にいつもの書体、iの上段のドットは赤色でしゃれている。一階はお鮨屋さん、二階は陶芸教室、鉄製の階段を登って入ると手前の空間に樫木和子さんの作品、奥の展示室には岸田良子さんの地図。作品に囲まれて椅子に座るのは久しぶりだ。お茶をよばれた後、井上さんに事務所などを案内して頂く。書棚には1962年9月からスタートした画廊の活動を記録する案内状や会場写真、展評等を貼り付けた77冊におよぶスクラップ・ブック、その横の壁面に森村泰昌の小品。以前より広くなり作家にも使いやすいスペースだと思った。メイン展示室の天井回りなど、ちょっと素敵なロフト風だ。人通りも多く、三階からの眺望も気持ち良い。「マン・レイに関する展覧会をいずれやってみたら」と囁いてくるような空間だった。
 京都市美術館へ歩き、閉館前にあわただしく「京都と近代日本画」を観る。その後、寺町通り丸太町下ルの小林祐史写場へ移動し、京都写真クラブ会員の精神科医、市川信也さんの報告会に参加する(17〜19時)。
 今年の8月29日から9月4日まで、ソウルのGallery SAPACE A-CHIMで開催された氏の個展「MOTHER LAKE」の様子をスライドと資料を使って話された。氏は32キロにもなるブックマットした50点の作品を抱えてソウルに行き、近代的で洗練された大きな会場を舞台に、自作を上手く展示された。具体的な質問をされる人、リーフレットにサインを求める人、ブログに書き込む人、雑誌に顔写真入り特集記事で掲載されもした。偶然がいくつも重なって実現した展覧会との事。かの地でのアーティスト定義、デヴュー作家でもカタログを造るのが一般的で、権威ある識者にテキストを求める心理。そうした、韓国の熱気に包まれたアート事情、若い女性達の「目力」をスライドから受け取った。わたしも、又、ソウルに行って美味しい焼き肉が食べたくなった。

(註)galerie 16 京都市東山区三条通白川橋上ル石泉院町 戸川ビル3F 電話 075-751-9238