岡本神草「拳を打てる3人の舞妓」

 午後から出掛け、調査中の詩人の旧宅近辺でスナップ写真を幾枚か撮る。戦前の雰囲気はどこにあるのだろうかと想像する。その後、岡崎神宮道の星野画廊へ移動し、「岡本神草「拳の舞妓」への軌跡展」(註)を拝見(電話 075-771-3670 7月12日迄)。これまでに近代美術館等で観ていた「拳の舞妓」(1920年)には、大正デカダンの薄気味悪い印象をもっていたのだが、初公開の習作(1919)には驚いた。絹本彩色の裏面にのせた朱色が特別の効果をもたらして、繻子(?)の着物を透ける女体の艶めかしい色香が漂っている。画廊内の正面に掛けられた大ぶりの作品は、美術館に入れるべき迫力を持っている。久しぶりに鳥肌が立つ絵画である。画廊主の星野桂三氏にいろいろ教えて頂きながら、画面を見直す、良い作品だ。

 ギャラリー16で中島一平の「窓からの光・シリーズ2」を拝見し、井上さんと世間話。水明洞、メディアショップ、赤尾照文堂ジュンク堂BAL店、アスタルテ書房と回ってから、イノダコーヒー本店へ。夕方の涼しい外気に包まれガーデン席で一服。先日と同じ席だった。禁煙エリアとはいえ一人でテーブルを占有するのは申し訳ないが、わがままにコーヒーを飲みながら、読書。ミルクと角砂糖を入れて、心と身体がリフレッシュされるのが嬉しい。

 ところでジョン・バクスターの本は、オーストラリア人の故か、品性に欠けるな。パリの物語でもあるけど、どうしたものか。

 今日は、精算する時、ケテルのレモンパイが一つケースに残っているのに気付いた。聞くと一つでもかまわないとの話なので土産とする。メレンゲが美味しいのよね。小さな箱をぶら下げ自転車で帰宅。若い友人から嬉しい葉書が届けられていた(感謝)。


(註)熱意あふれる記念カタログが刊行されている。惹かれた人の言葉と惹かれた日本画がおりなす星野ご夫妻のテキストは魅力的、研究書であり謎解きの要素も多い。104頁、領価2000円