”MAXI GRAPHICA / Final Destinations”展

manrayist2008-09-23

 烏丸丸太町下ルのカンプリで、頼まれもののコピーをした後、自転車で北上し吉岡書店、井上書店、竹岡書店と回る。ネット検索で気になっている本を尋ねると「倉庫にあるから、明日ならば」との返事であきらめる。現物を手にしたいのよね。続いて神楽岡通りを抜け、岡崎の京都市美術館へ。17日から始まった"MAXI GRAPHICA / Final Destinations"展を鑑賞する。同展は1988年に第一回展をこの美術館で開催してから20年を経過した「版画表現の可能性を最大限に追求することを目的」とした人達の集まり。わたしが京都に来て、最初に知り合った田中孝、木村秀樹、中路則夫、安東菜々、出原司、-----といった人達、今では版画表見の領域を大きく超え、表現の可能性をさらに広げている。モチーフが変化した人、テーマを深化させる人。ゆったりとした古い会場に、存在を示す大きさ。それぞれの部屋に置かれた立体物とのバランス、油彩のように仕上げられた作品も。どの作家の仕事も変化している。「でも、これ以上は大きくできないな、みんな60歳だから」とK教授。版画表現が挑発的で輝いていた時代は、過ぎ去ったな、そんな印象を持った。

 星野画廊、続いてアートスペース東山での井上隆雄写真展、ギャラリー16の大崎のぶゆき展と走り、水明洞、中井書店へ。続いて回った三月書房で、ルイ・アラゴン著、マルク・ダシー編著、川上勉訳の新刊「ダダ追想」に気付き購入、定価2800円(税別)。奈良の出版社萌書房というのは初見。こうした場合は、急いで確保するのが安心。ドゥーセ・コレクションに残されていた1922-23年にアラゴン書いた原稿(ほとんどが未発表)を纏めたもので、マン・レイの映画に辛口な批評があるのも興味深い。楽しみだ。さて、寺町の尚学堂書店でソムリエ氏をお見かけした後、富小路三条上ルで3月に開廊したばかりというギャラリーH2Oに移動。美術館で展示中の作家が、売り物を置いている。題して「タソガレ ノ ビギン」展(会期は10月5日まで)。路地奥に洒落た空間が現れる、茶室もあり、床の間には木村秀樹氏の作品が掛けられている。ここで、展覧会をしてみたいな。

 イノダコーヒーでアラビアの真珠と予定していたが、6時をすぎてしまい、断念。街がしだいに暗くなる。堀川通り、五条通り、七本松通りと急いで走り、イエロカメラーに寄って、午前中に頼んだ焼き増しを受け取る。Tシャツで自転車、気持ちの良い午後だった。