よっちゃんのこと


リブレリ・アルカードの吉永昭夫氏が2月末で退社される。30年以上前、学生服姿で画廊や古書店に出入りし、主にシュルレアリスム系の作家、マッソンやベルメールに惹かれたと云う、シュルレアレスムへの関心も傍系の作家に広がり、書物を愛し、業界の移り変わりを見てきた人。大阪に出た時、帰宅前のひと時を阪急かっぱ横丁にある店で、珈琲など飲みながら世間話をするのがわたしの楽しみだった。その彼が、3月からは店にいない、寂しいかぎりだ。初めてお会いしたのは開店して直ぐの頃で、友人のイケメンM君と一緒だったと記憶する。以来、仲良くなり、いろいろとお世話になった。ボリガー、トランジッション、アラントン、エクス・リブリス、ロリエ、などなど海外の古書店主や店の様子を教り、結婚したときには、お祝いとして貴重なイオラスのマン・レイ展カタログをいただいた。そんな訳で、夕方から梅田に出かけ旧交を温めた。

 路面店で書物を買わなくなり、もっぱらインターネットで必要な買い物をするわたしも、古書業界の構造不況を実感している。特に洋書を扱う店の厳しさは想像をぜっするものだろう。でも、店舗がないと新しい出会いが生まれない。今後はアポイントのもとで商品(コレクション)をみせるスタイルになるのかな。丸一屋に場所を変え、土曜日担当のS嬢も交えて、一献。楽しい時間となった。有難う。