名古屋市美「20年のあゆみ展」など

21日(土曜日)

名古屋市美術館の開館20周年記念「20年のあゆみ展」を観に帰名。一階の企画展示室で山脇一夫さん、神谷副館長とお会いする。コレクションの目玉、「おさげ髪の少女」(モディリアーニ)が、常設展示室と同じ他作品の顔ぶれでケースに入っている。一瞬、地階の展示室かと錯覚した。もちろん、それがねらいだろう。この美術館で一番好きなのは、フリーダ・カーロの「死の仮面を被った少女」ブリキ板に描がかれた小さな油彩が、なんとも、心に訴えてくる。彼女の物語が凝縮しているんだね。今回の展示で、なるほどと唸ったのは、下郷羊雄のシュルレアリスム写真集「メセム属」を配した一角。山本悍右の[影][砂浜の裸婦]からケースに写真集が入り、これは表紙を展示、日本語とフランス語が良いあんばい。そして、下郷の「伊豆の海」と続く。下手な絵だと思っていたけど、なかなか良いではありませか。横の壁には三岸好太朗の「海と射光」心憎い演出である。これは、写真に撮らねばと思ったが、最近は著作権の問題や会場警備の関係で難しくなった。額縁や展示構成に関心をよせる研究者(?)としては、つらい状況である。赤瀬川原平河原温岡本太郎と楽しむ。

 名古屋画廊の中山真一さんの紹介で、ヘミングウェイがご専門のT教授とお会いする。1910年代のグリニッチ・ヴィレッジを起点に、スティーグリッツ、デュシャンマン・レイ等のお話をうかがう楽しい食事会となった。デュシャンの「泉」の時代背景が論述される著書が近々刊行されるとのお話で楽しみである。それから、美術館に戻り、山脇一夫、木下直之、浅野徹3氏の座談会を聴講する。

 夕方、ちくさの正文館書店へ行き、中野嘉一の「前衛詩運動史の研究」を求める。以前から気になっていたのだが、高い本なので躊躇していた訳。しかし、戦前の詩人達について調査する過程で、どうしても必要になった。---帰宅して日本の古本屋をチェックし、がっかり。安い値段で何冊も掲載されている。これでは、新刊書店はつらいよな。

 夜は「一結」で一杯。八海山はやはり旨い、遅くなってから入店したので、品切れのパンチ。造り盛り合わせでお茶をにごし、ホタルイカの沖漬けの後、鮟鱇鍋。帰宅してからざるそばとビール。眠くなった。

22日(日曜日)

10時30分まで寝てしまった。深酒ではないので(?) 気分が良い。今日も日本酒が飲みたい。握り寿司を相手に「浦霞」を選んだが、ハズレだった。それから「上善水如」にきりかえるが、これもハズレ。キリリとした水じゃないんだよね。欲しいのは清流、岩の間を流れ落ち、岩の時間を削ったような味。ないかな。それから寝てしまい、7時過ぎに目覚める。味噌煮込みうどんを食し、帰京。飲んで食べるばかりの二日間だった。「男は役に立たないな」ゴメンナサイ。