「祝祭都市ニューヨーク」刊行される。

先日、名古屋でお会いした田野勲先生が「祝祭都市ニューヨーク」と題した、「1910年代アメリカ文化論」を刊行された。幾つかの章では、マン・レイモダニズムの画家として形成されていく時代背景が、スティーグリッツからの影響、デュシャンとの友情等を通して描かている。マイノリティであったマン・レイが、当時のグリニッチ・ヴィレッジでどんな青春をおくっていたのか、「「リッジフィールド野郎」と呼んで粋がったポーズをみせている」(223頁)など、わたしの知りたかった事柄が的確に記述されていて、発見と出会い、氏の洞察力の深さに有り難く、急いで読み始めている。フェラー・センターの背景について知識不足だったし、美術評論家達の視点には欠落しているウイルソン大統領のドイツ帝国に対する宣戦布告と「リチャード・マット事件」との関係など、アメリカ文化の専門家でなければ、指摘できない事柄が沢山含まれていて、有り難い。マン・レイ理解をさらに先へ進める好著だと思う。図版も多く楽しみも倍増すること間違いなし。感謝。

祝祭都市ニューヨーク----1910年代アメリカ文化論
田野勲著
彩流社
2009年6月10日発行
定価 3000円+消費税 
詳細は  http://www.sairyusha.co.jp/bd/isbn978-4-7791-1442-7.html