「自由な手」NRF版 1947年

マン・レイのデッサンをもとに、ポール・エリュアールが詩をよせた詩画集「自由な手」は、戦前の1937年にジャンヌ・ビュシュ画廊から展覧会と連動し500部限定で刊行された。家蔵する一本は限定番号433番、ペーパーナイフが入っていないうぶな状態なので、これまで、マン・レイが観た夢の光景とエリュアールの詩句をうっとりと紙の間から覗いて楽しんできた。この詩画集は戦後の1947年にNRFから2350部限定で新装版が刊行されている。日本の詩人の幾人かが、こちらの新装版からインスピレーションを受けてきたとの情報を最近になって得たので、図版の仕上がりなどを確認する為に手に取ってみたいと思ってきた。しかし、状態の良いものは少なく、価格も高い。初版を家蔵するから、まあ、いいかとパスしてきたのだが、先々週、モントルイユに現れ興奮した。状態を確認すると良いあんばい、深夜の競争に運良く勝ち、本日、無事に到着した(13日現地投函、雨を心配していた)。開封すると、これもアンカットの状態で驚く、限定番号は2309番。手の感触を楽しみ、硫酸紙で保護し、ページを開いてみる---これも紙の間から覗く訳だが、タイトル頁のデッサンはアヴニヨンの橋に横たわる裸体、河畔でわたしは、この女性を観ていたのよね。