「昭和12年のモダン都市へ」展


若い友人に誘われ大阪大学総合学術博物館で開催されている「昭和12年のモダン都市へ」展に出掛けた。京都からだと阪急を十三で乗り換え石橋までとなり、時間がかかる。最初にネットで展覧会の情報を検索してみたが、あまり紹介されていないので、パスするつもりだった。しかし、木曜日に大阪で会った立花常雄氏が、駅からも近いし、面白いですよと推薦してくれたので、予定を戻し出掛けた訳である。石橋駅で降り7分程歩いただろうか、大阪大学待兼山修学館は国の登録有形文化財に指定されている。雰囲気のある玄関からアール・デコ様式の色ガラスで飾られた階段を三階に上がり展示を拝見する。三島喜美代さんの特別出品から始まる展示は、昭和12年に作れた映画「大大阪観光」を案内役に橋爪節也氏のコレクションを中心に構成されている。当時のパンフレット、広告、出版物、報道写真などおよそ120点。観光艇で両岸のモダン建築を見学するように展示品を楽しむ事ができた。地下鉄開通記念のメリーゴーランドから興味深く、新興美術協会展のポスターもかっこよい。戦前京都の詩人達を追跡している身には、新しい刺激が一杯であった。ガスビル食堂のメニュー(書籍の値段と比較すると面白い)や大丸百貨店全館完成店内御案内など、紙モノ好きにはたまらないな。マッチ・ラベルのコレクションや「シンセカイ」と入った手ぬぐい。小石清の「撮影作画の新技法」(玄光社、1936年)と山本三郎の「写真壁画」の並べられたコーナーなど興味はつきない。セミナー室で「観光映画」を観ると鉄道フアンの眼は市電や地下鉄から目がはなせなくなる。そして、戦前の日本女性の凜とした感じ、お辞儀する姿の美しさに古きよき時代を映像から思う。これが、入館料無料なのだから有り難い。

 一階のカフェ「坂」のテラスで若い友人と一服。心地よい風が吹いている。勉強をしたいな。石橋駅に戻る間に太田書店を覗き、亀山巌の「偏奇館閨中写影」(有光書房、1970年)を購入。愉しい一日だった。

展覧会カタログを兼ねた大阪大学総合学術博物館業書4「映画「大大阪観光」の世界--昭和12年のモダン都市--」は2,400円+消費税
大阪大学総合学術博物館 第4回特別展
昭和12年のモダン都市へ」展
会期: 4月27日--7月4日(会期延長7月11日まで) 10時30分から17時(日曜・祝日休館)
会場: 大阪大学総合学術博物館 待兼山修学館3F
入館料無料
http://www.museum.osaka-u.ac.jp/jp/event_content/special-2009/special-2009.html


京都に戻って街中をブラブラしていたら、時計草を見つけた。いつも、この時期に咲くようだ。「都市モダニズムの奔流」を読了。5章の「回想の「詩と詩論」」が面白かったが、研究者のアプローチ、論考の展開には随所で戸惑いを覚えた。