写真の裏側 マン・レイのスタンプ本


4月11日の本ブログで言及した、「ピンク色の可愛らしいマン・レイ本」「ファイトが沸いてきた。キリキリと欲望がもたげてくるのだ」の一本がパリより届いた。嬉しくて涙が止まらない。「諦めずに追い求めれば、いつか我が手に」との信念を持ちつつも、今回は心が揺れた。ツァイト・フォトサロンで控えた書名と著者、刊行者の記載からネット検索を始め、たどり着いて連絡を入れたのだが、いつまで待っても返事が来ない。何日もパッサージュ・ヴィヴィエンヌの地図を見ながらため息ばかり付いていた。それで、在パリのNさんに助けを求めたが、これが大変な事柄となった様子。何度、書店に行っても閉まっていて本人に会えない為、事が捗らないのに、日本から催促のラブ・コールが続く状態で、閉口されたのでは推測する。Nさんに多大の迷惑をかけてしまった。シュルレアリスト達が好きな「小さな本」は偶然の機会に掌に舞い降りて来るモノなので、手だけを前に出して追いかけると、相手が逃げてしまう。本当に毎日、待ち焦がれた。今宵、開封し我が指先に開かれた「写真の裏側」と題した本(14.4 × 13.2 cm, 48頁)は本当に可愛い。

 どうして、この本に執着したかと云うと、マン・レイのヴィンテージ・プリント裏面に押されたアトリエ・スタンプ42点が、著者のスティーブン・マンフォードによって整理されているからなのだ。マン・レイのコレクターでこの本を架蔵していないとしたら、モグリになってしまう。高い場合には、1点で数千万円もするマン・レイのヴインテージ・プリント、贋作者には格好の獲物な訳で、著者は長い間、スタンプの台帳を贋作者に知らせないようにしてきたと云っている。真贋判定にスタンプの要素は大きい。本書には偽物のスタンプも紹介されている。これは2008年3月21日、1,000部限定で刊行された改訂版(ツァイト・フォトサロンのものは初版)取り扱いはセルジュ・プランチュルー。 Nさんありがとう。