古書目録-3 日本編

紙の古書目録の理想型は調布のリブリ・アルテ。各号に載った金沢佳子さんのエッセイが秀逸だった。ここに紹介する13号は「写真とエロティック・イメージ」の号。探求心旺盛な少年の過激さを求める性的欲求への言及のあとで、彼女は「もはや探求期を終えてしまった「少年ではない男性」は、過激さを求めることはしない。同じようなものを定期的に繰り返し求め始めるのである。外からみればほとんど同じではないか、と言いたくなるようなものを新しいものとして迎え入れる。大切なのは習慣であり、夢想のプロセスやパターンをくずさないことで、斬新なものは受け入れを拒絶される。(4-5頁)」と指摘している。

10号 シュールレアリスムの幻---日本前衛誌ノート
12号 アイデアフェティシズム--フルクサスの言語遊戯
13号 造花のめしべ---モラリストと写真集
15号 なぜナニ現代美術

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日本の古書目録では、田村書店の「愛書家通信」やえびな書店の「書架」などを楽しんできたが、マン・レイだけに限定すると発見できる機会は少ない。もちろん昔からアルカディア書房や丸善石神井書林の目録にもお世話になっている。でも、資料類がだいぶ集まった最近は、目録から注文することも無くなってしまった。残念だけどしかたがない、それで、アプローチとしては海外のネット・オークション利用にシフトだか、この鉱脈も枯れてしまった。その為この先の収集は、まったく別のアプローチを開発せねばならない。「人のネットワーク」しかし、日本に住んで欧州モノを狙うとなると、難しい。----しゃべれないからね。

丸善の美術・古書部の底力はすごい、この1997年秋号では、収録367点。マン・レイの「写真は芸術にあらず」「写真集1920-1934」、続いての1998年新年号には「ファシール」「ニューヨーク・ダダ」「チェス・セット」のラインナップ。あまりに高額で購入とはならなかったが、上京して拝見させていただいた。眼福なひとときだった。

旗の台時代の魚山堂書店の目録。収録3848点。下郷羊雄の「メセム属」が39万円で載っている。山本悍右関係を注文したが、売り切れだった。古きよき時代だな。