京都図書研究会


昼から出掛け富小路四条下ルの徳正寺を会場にして開かれた京都図書研究会の発足会に出席する。「近代の京都における印刷、出版、趣味の分野について、有志が集まり、さまざまな研究、討論などを行う会合」との事で、初回の発表は生田誠氏の「小林かいちと京都の木版絵封筒」と林哲夫氏の「高桐書院の出版物」の二本。参加者は14名、いずれもが知られたコレクター、研究者、関係者なので、こうした分野の初心者であるわたしは沢山の刺激を受けた。まず、小林かいちブーム(とすると不謹慎だが)の仕掛け人である生田氏による現物を前にしてのトーク、面白い。すぎ去った時代の忘れられた人達を現物から遡る仕事は、古い街故の血縁、地縁がからまって思いがけない発見がある。初回の集まりでも、いくつかの驚きがあった模様。生田氏の絵葉書、絵封筒に対する情熱は恐れ入る、病気ですね----わたしも同病だからよく判る。ついで、林哲夫氏の高桐書院関係の書籍解説と報告。スピンで連載中の淀野隆三の背景が判って興味深かった。梶井基次郎全集なんて思いが伝わるな。


小林かいちアールデコ様式の代表的作例。好事家達は「七曜日」とか「七夜の夢」と呼んでいる。

                                          • -



高桐書院 1948年刊 中島健蔵

                                          • -

発表の後には参加者の自己紹介。東京から来られた方や、関係者のご夫妻、壬生にお住まいの方もいらっしゃって恐れ入った。街は狭いよな。



京都の古書店で廉価にて入手されたと云うG.L.M.の手帖を拝見。パリの手触り、素敵な色目。

                                          • -

夜の部は大和大路四条下ルのちとせ。楽しく秋の季節料理を頂いた。松茸のお吸い物は、初物だな、参加者の話が盛り上がる。



楽しい時間だった。


以下、林哲夫氏のブログ daily-sumus より引用
京都図書研究会発足のご案内

 残暑のころ、皆様には、いかがお過ごしでしょうか。

 この度、近代の京都における印刷、出版、趣味の分野について、有志が集まり、さまざまな研究、討論などを行う会合を持つことにいたしました。書籍や絵葉書、絵封筒、地図のほか、枝折やポスターなど、さまざまな印刷物(紙物)について、自由闊達に語りあい、何かしら得るものを見つける、ささやかな活動にするものです。
とりあえず、「京都図書研究会(仮称)」と称して、年4回程度、会合を行いたいと考えております。第1回会合は、9月12日(土)に開催することになりました。対象となるテーマは、「小林かいちと京都の木版絵封筒」(担当・生田誠)と「高桐書院の出版物」(担当・林哲夫)の2つを設けて、作品の紹介と解説などを行う予定です。また、皆様で関連する資料などを持ち寄り、自由な話し合い、問題提起ができればと考えております。今回は、以下の2つの会場で行います。どちらか一方の参加も歓迎したします。
昼の部では生田所蔵の小林かいち絵封筒がたっぷり鑑賞できる予定です。林は淀野隆三と高桐書院について、主に淀野について話したいと思います。