女性専科カメラマン Y氏のこと


京都駅ビル・大階段のクリスマス イルミネーション2009。
古くからの友人である写真家のY氏が上洛。京都駅のイノダコーヒ・ポルタ店で待ち合わせ、早速、最新作を拝見する。同世代の女性の表情を捉えたアップ写真、100枚以上。一人の女性の肌に年相応の変化を認めつつ、人生の苦しい事柄の間に、青春が閃く変化といったものは、連射可能なデジタル・カメラ故のなせる技だろうか。尊厳を持った仕事を続ける人格の中に、ふと、過ぎ去った10代が--- 写真を撮られる側と撮る側との信頼関係が深まるにつれて、表情の奥行きが増す事は素晴らしい。エロテックな場面ばかりを想像する平凡な観客も、性差と無関係に人間の営みと向かい合う。言葉による紹介はもどかしい、Y氏の写真を、そのままここにアップ出来れば、読者諸氏にストレートに理解してもらえるのだが、諸般の事情でかなわない、諸般の事情こそ、これらの写真を構成する大なる部分と思う。それ故の表現の奥行き。写真家は眼と手、精神と肉体をもって、現場に立つんだな。平凡なわたしは、脱帽するばかりだ。
 そんな訳で、場所をJR伊勢丹11階の築地寿司清に切り替え、アルコールの力を借りる事にした。友人自身が女性と写っている写真の可笑しげな表情は、狂言のいくつかの所作に通じると思うが、それが、10代後半に参加した全日本学生写真連盟の合宿場でのシーンの再現だと、二人で確認すると、人は変わらないのだと云う認識を強くした。---さて、寿司清だがカウンターに座り、生ビールで気持ちをリラックスさせ、店長おまかせの伊勢を頼む、突き出しから期待がもて、堤さんが握る中トロから美味しくいただく。ネタとしゃりのバランスが良いあんばいで有り難い。ネタケースの小肌がなくなる気がしたので、先にリーチしておく。コースは12貫かな、吉乃川の冷酒で話がはずむ。美味しいお寿司、鯛もいけるし、煮穴子も絶品、幸せを感じる。Y氏は写真の解説で雄弁、そんな訳で、聞き役のわたしばかりが飲んでしまった。続いての冷酒は定番の八海山。江戸前の玉子焼きは良いな、舌の休憩となるからな。しめにはくもこの軍艦巻き。あがりを頂きほっこりしていたら、デザートのアイスクリームが登場。楽しく充実した一時だった。
 それから、大階段を降りて向かい側のホテルグランヴィア京都へ。空中経路をうろうろした後、15階のスカイラウンジ、サザンコートで話しの続き。アルコールはI.W.ハーパー12年。ジャズ・ピアノのライブは近藤ともこ。夜景を観ながら、先の写真を再び取りだし、話をいろいろ。Y氏は、ここで複写などを挙行。わたしもリコーGRを取りだし応戦。さらに、ブライトンを飲んだ頃には、随分と酔っぱらってしまった。