ライオン像で待ち合わせ


名古屋のアパレル業界を視察すると云う若い友人と栄のラシックで食事をした後、別れて愛知県美術館へ。地階のナディフで美術書を確認してから10階の会場へ上がる。天井の高い広々とした空間に大きさのそろった白黒写真が並べられている。1945年から1964年までの「日本の自画像」。展示が濱谷浩の「終戦の日の太陽」で始まるのは当然だな。久しぶりに拝見すると印画にフレアが出ているのに気付いた。作家主義ではなくて時代に則った著名な11作家の作品が、ランダムに掛かっている。個性的な作家達だが、それぞれの視点や力量が判って興味深い展示になっていると思った。全体を観ると取材として撮った写真群と自らの関心から自発的に撮った写真との差が出ているように感じられる、わたしは濱谷浩が好きだな、そして、時代性が今に続いて興味深い例として長野重一も良いな。
 さて、今回のみどころは友人が提供した8冊の写真集。会場には写真集のケースが幾つか置かれているので、友人のはどこだろうと捜してみた。どうやら、展示構成は先の「日本の自画像」とは別に(続く形で)東松照明の「愛知曼陀羅」が開催されていて、常設展示室へ入る前の、左側に置かれた二つのケースに入っていると判った。手前には「おお! 新宿」「OKINAWA 沖縄 OKINAWA 」「I am a King」「<11時02分>NAGASAKI 」の4冊。奥のケースには「hiroshima-nagasaki documento 1961」「戦後派(フォトシリーズ映像の現代5)」「サラーム・アレイコム」「日本」の4冊。プレートには小さく個人蔵とある---友人の控えめな性格がしのばれて好感が持てた。今は手を触れられないが、いつもは二人して頁を開いているから、会場で開かれているページを忘れないようにメモをとる。楽しい一時だった。
 若い友人と三越百貨店前のライオン像で待ち合わせ。松坂屋やパルコ、それに幾つかの路面店、一番充実しているのはラシックだったそうだ。