ヤマザキマザック美術館内覧会

一般公開は4月23日から

美形の学芸員に誘われてヤマザキマザック美術館の内覧会に出席した。この美術館は名古屋の工作機械メーカー、ヤマザキマザックの山崎照幸氏が長年収集してこられたロココから新古典主義ロマン主義写実主義印象派、エコール・ド・パリに至るコレクションを展示するもので、フランス美術200年の歴史が、当時のサロンや欧州の美術館を再現する絢爛・豪華な空間で鑑賞できる画期的な展示となっている。国内での私設美術館の開館は久しぶりであると共に、バブルの時代に様々に開き・消えた美術館の知力と財力のなさに、あきれた美術ファンとしては、まことに楽しめる空間であった。最初、チラシなどでいだいたイメージの数倍、数十倍の見応えある作品群で、感謝しきり、しかも、名古屋の新栄と云う交通至便の一等地での開館、いや、まいりました。そして、楽しみました。ありがとう。

 5階から入場すると、山崎氏が最初に求められたピエール・ボナールの「薔薇色のロープを着た女」に迎えられる。コレクターが初めて購入した作品の魅力は、総ての収集品に通底する基準原器の意味があり、ここから収集品の繋がりを推測するのは楽しい。そして各部屋の色彩に包まれロココの優品から楽しむことが出来る。ここでは、油彩がガラス越しではなく、そのままに展示されているので、マチエールの魅力は倍増する。それぞれの作品から感じた事柄を報告すればよいのだが、名古屋から戻ったばかりで、やや酔っぱらい、写真をアップすることでお許し願いたい。なお、壁のシルク織りはバクハウゼンでウィーンから直接取り寄せたもの、シャンデリアもマリアテレサ製と聞いた。

ピエール・ボナールの「薔薇色のロープを着た女」



ギュスターヴ・クールベの「波、夕暮れにうねる海」はすごく良い作品。しぶくて重い波頭、部屋の対抗面にアンドレ・ドランの「オーの風景」があって、この取り合わせが嬉しい。それに、今回、改めて魅力を感じたスーチン。いろいろなスーチン、腐った肉の変化が、これはすごいと---スーチンは単独で展示しても面白くないな。



ジャック・グリュベールの食器棚を挟んで掛けられたアンドレ・ドラン。サロンに招かれたようで、すこぶるよろしい。

1889年のパリ万国博覧会に出品されたというエミール・ガレの「菫文花器」。美形の学芸員は展示作業で重さや手触りを実感し魅力に「はまってしまった」と云う。ガレは特別らしい。

 5階・4階と充分拝見した後、1階でワインなどを頂く。友人・知人・関係者と歓談。中京地区の状況などをお聞きする有意義な時間となった。

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ヤマザキマザック美術館

私は、1960年代初頭より自社の工作機械を世界市場に広めることに一生懸命でありました。そのため欧米各国にしばしば出向きましたが、週末となれば行く先々の美術館を訪れ名画を鑑賞することが何よりの楽しみでした。 そうした中で、パリの画廊で一枚のボナールの絵に出会い、購入したことがその後の絵画コレクションのきっかけとなりました。やがて、収集を重ねていくうちに、フランス美術に強く惹かれるようになり、絵画のみならず、ガラスや家具などの工芸作品なども、自分の目で、一つ、一つ、慈しみながら集めてまいりました。
いつの頃からか、これら作品を展示する美術館を作りたいと思うようになりました。ヤマザキマザック美術館は、この夢の実現であります。当美術館の展示内容は、ヴァトー、ブーシェフラゴナールシャルダンといったフランスのオールドマスターを始めとするロココの時代から、ロマン主義を代表するドラクロア新古典主義のアングル、写実主義印象派、そしてエコール・ド・パリ等、18世紀から20世紀も至るフランス美術200年の流れが一望できる構成となっています。 さらには19世紀末にフランスを中心に花開いたアール・ヌーヴォーの代表的な作家であるガレを始めとする、様々な作家達のガラス工芸品、家具も展示しております。

ヤマザキマザック美術館」が、フランス美術の奥深さをお伝えたいという私の夢の実現にとどまらず、地域の、ひいては日本、世界の美と文化に貢献するという役割を担い、開かれた美術館として成長してゆくことを切に願っております。 ヤマザキマザック美術館 館長山崎照幸

開館時間  10時〜17時(最終入館は閉館30分前まで) 所在 〒461-0004 愛知県名古屋市東区葵1-19-30  052-937-3737 名古屋市営地下鉄東山線「新栄町」駅(1番出口)直結