詩集「肉眼で」

「蠅たちの涎」がかからないよう静かに京都で暮らしている。最近の楽しみは、ネットオークションの売り手の住所から、店や自宅の外見をグーグルのストリートビユーで確認する事。地べたの書店を丹念に探し歩き掘り出し物を見付けるというのが古本者の王道であるのは判っているが、わたしの場合、収集対象が「マン・レイ」なので、これが難しい。そのため、ネツトで毎日探す事になり、送金手配をした後、相手の住む街を検索し、いろいろ興味ある情報を入手する。品物がここにあったのだと納得する訳。

 さて、紹介する一冊。現地19日発の郵便が今日、京都に届いた。差出地はリヨン北西の街、シャリリュー。グーグルで確認するこの書店が相手だった。
 マン・レイのアイデアエスプリの素晴らしさは、丹念に求めれば今でも廉価で手許に届く。今月の初めにネツトオークションで落札したルーク・ドゥコーヌの詩集「肉眼で」を飾るマン・レイのデッサン4点は、うなされる作品であった。書影は知っていたが内容は初めて。

 詩集「肉眼で」は1941年マルセイユ、カイエ・デ・シュッド刊、限定508部の内の367番本。著者のルーク・ドゥコーヌは1913年マルセイユ生まれで、高名な詩人エリュアールの義理の息子(愛娘セシルの夫)にあたる。フランス語が判らないので詩の魅力を紹介することが出来なく残念。せめて、「マン・レイ」と題した詩の一節を---
MAN RAY//Le doigt sur la detente//Un soleil inactuel cerne tous les contours/Le plomb est dans le coeur des formes/Une ombre court tres loin sur une terre nue/Je ne voie pas les ombres/Mais seulement l'Objet et son consentement (A l'OEIL NU par LUC DECAUNES. LES CAHIERS DU SUD, 1941. P.57)