「写真絵はがき」の中の朝鮮民俗

8月21日から高麗美術館(北区紫竹上岸町15)で始まっている特別企画展「「写真絵はがき」の中の朝鮮民俗」を拝見した。まだまだ暑い午後、地下鉄の北大路駅から歩くと20分を超える、しかし、紫竹は調査中の戦前京都の詩人とゆかりのある土地柄、高級住宅街なので町を確認してのブラブラ歩きだった。


 高麗美術館は初めての訪問。林画伯のブログに告知があった「写真絵はがき」に興味をもった訳。同館研究員の山本俊介氏が集めたコレクションが中心となった展示であるが、氏の着眼点が鋭いので、緊張感のある展示となっている。展示の方法、資料の質ともに吟味され的確であるので、初心者にも歴史を理解しつつ、朝鮮の風俗にアプローチできて有り難かった。朝鮮の絵ハガキは99%日本製で、日本人が買い求め内地へ送ったものと云う。---日本人が失いかけた風景を朝鮮の地に見ようとした側面もあり、絵ハガキに残された風俗が、当時の朝鮮の様子と一致するかと云えば疑問であるとの意見もあった。そして、庶民の生の情報を読み取れる貴重な一次資料となっている、絵ハガキの文言を活字におこした山本氏の作業に感服した。展覧会の準備のご苦労を思う。脱帽である。

一階展示室で

二階展示室で
 今日の会場では、研究家の生田誠氏と林画伯の「談義」の他、絵はがきの交換と古書販売があったので楽しめた。生田氏の指摘では、はがき集めが収集の王道であった時期があったと云い、日本人は官のモノを集める傾向で、切手、コイン、お札、勲章に惹かれるようだとの事。みずから絵はがき交換会を組織して今日に至った、氏の病気ぶりにあきれるが、会場に集まった人達は、わたしも含めて、みんな病気であるだろうな。

展覧会の会期は10月17日まで。
尚、第2回として、滋賀県立大学教授の細馬宏通氏と林画伯との「談義」が9月25日(土)に予定されている。

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京城景福宮光化門の写真が、山本氏など指摘されるように、絶妙な切手と消印、文言の位置でスパ抜けているが、わたしとしては「妓生」たちが好みだな。