写真家・東松照明 全仕事

帰省して名古屋市美術館で始まった「写真家・東松照明 全仕事」展関連事業である、記念鼎談を拝聴した。(中区役所ホール、11時00分--12時45分)。会場には400人ほどの人、会場の写真を撮っていたら、知人から声を掛けられた。残念ながら体調不良で長崎から移動出来ない東松氏は電話での参加だったが、作者自らがプロテストのシリーズに関連して「場所と時間だけを伝えて切れてしまう電話---写真をとらせたかったのだろう」や「選択の連鎖である写真」についての考え、それに「瞬きのリズム」といった最近の感覚など、しっかりお話をされた東松氏、途中で休憩されたけど、聴講者として嬉しかった。

壇上には中平卓馬倉石信乃、司会進行役の竹葉丈の三氏。

雨の中、美術館に移動し、作品を拝見。ビンテージプリントは良いな。デジタルが世の中に蔓延してしまうと、だれがこの魅力を伝えるのだろうか。撮影中の東松氏の影が画面に写っている「3.傷痍軍人」「20.巣穴」「21.課長さん」などに目がいったけど、わたしの好きな作品は、わたしの原点でもあるから写真集『日本』に収められた数点、「31.伊勢湾台風」や「212.DNAの風景」の色合いなんてどうだ、的確な造詣感覚、氏のようなセンスがないと作品にならないな。
 500点以上の展示なので、最初に関係者から聞いた時にはどのようになるのか心配した部分もあったけど、撮影年順ではなくテーマ毎の構成なので、写真する行為の連続性が良く判って興味深く、プロテストの187. 188の展示などでの遊び心、被爆された方々との交流、手紙の抜粋もあり、重いテーマにも明日をみるようで、上手い見せ方だと思った。

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夕方、実家に戻ると空は異様な雲と光に包まれていた。