アートフェア「超京都」

暑くも寒くもない行楽に最高の午後、家人と連れだって東本願寺の東側にある名勝渉成園で開かれた現代美術の展示会「超京都」へ出掛ける。烏丸通りから東の中珠数屋町通りを入った突き当たりが名勝渉成園、「超京都」の立看板で直ぐに判った。ここは東本願寺の別邸で庭園を築き始めたのは1653年、建物は「蛤御門の変」以後の再建であると云うが、趣きのある佇まいである。大書院「閬風亭」の第一会場から拝見した。ゆったりとした空間に庭からの光、現代美術の作品が上手くコラボして置かれているのは、インスタレーションの作品と云ったところだろうか。ギャラリー16の出品では、中原浩大の「ラジコン4--ルネ(Rene)」の愛らしい事といったら(子供達に大人気と聞いた)ない、色の異なる眼を持った四輪駆動の「ルネ」には、庭園を走り回るのが似つかわしい。購入されたであろうコレクターは、その姿を庭園に重ねているかな。窓側の寺田就子、樫木知子の小品も良かった。「閬風亭」の空間をそれぞれの参加画廊が上手く使っている。ただ、空間があまりに魅力的なので作品にパワーがないと負けてしまうと思った。普段は入れないと云う書院に正座し、目線に入る印月池を楽しんだ(眼福である)。室内に眼を転じると扁額に「嘉楽」の一筆、実に良い文字で、この方が現代美術ではないかと思った。---八畳敷の一室は床と付書院をそなえ明治天皇1880年7月14日に休息で使われたと案内書にあった。


閬風亭


臨池亭 GALLERY CAPTION(岐阜)の展示
Iさんに薦められたので庭園から第二会場へ回る。赤や黄色の葉が緑の上に落ちて美しい、「地泉回遊式庭園」と云うそうだが外国の観光客が多いのもうなずける。京都駅から徒歩10分でこの空間があるのは有り難い。縁側が地中に張り出し滝の水音も気持ち良い臨池亭と滴翠軒を会場にするのはGALLERY CAPTION、東京画廊+BTAP、eNartsの3画廊。プライスゾーンは許してねの世界だけど韓国の作家コウ・ュンクンの彫刻を立方体へ変換したBody Houseの仕事に興味を持った。日本作家のパワー不足に気づいた「超京都」展だった。



落ち葉を拾い上げ手帖に挟んだりする家人と印月池を回りながら、藤本由紀夫の「HERE & THERE ON POSTCARD」や老舗画廊の実力などについてのとりとめのない会話。趣向を凝らした建物や橋、鴨や白鷺に眼をやり、京都タワーの不思議なパワーに驚かされた午後となった(感謝)。