三越前で…


三越本店本館一階中央ホール、天女(まごころ)像。

ライオン像
仕事で上京。二日間真面目に働いた後、夕方、エフェメラ好きの知人と待ち合わせて世間話となった(今回はわたしの方が遠来の客)。勤務先の支店が日本橋小網町にある関係で、待ち合わせは「三越百貨店のライオン前」。待ち合わせ場所としては有名だが小生は初めて、もっとも、同年配の男性では、心ときめくことはないか。少し早く着いたので店内をブラブラ、一階の化粧品や宝飾売り場の豪華な感じは、家人だったら喜ぶだろうが、「エフェメラ好きにネックレス」では、「ちと、お高い」、マダムと売り子を眺めて一回り、二回り。中央ホールの天女像の堂々とした演出につられて、またまた、ぐるりと、写真を撮ったり。---この像の制作は佐藤玄々で、京都の妙心寺内にあるアトリエで、準備したと云うから「縁」があるのだろうな、「瑞雲に包まれた天女が花芯に降り立つ瞬間の姿」と解説にあるけど、豪華絢爛すぎて、どうしたものか。ライオン像の方は正面玄関に一対、ロンドンのトラファルガー広場にあったのを模したと云い、「気品と勇気と度量」の象徴で1914年の設置。「待ち合わせの場所としても有名です」と銘板にあった(なるほど)。寒空の下、銀座の中央通りを行き交う人々を観ながら、「この国の行く末」に心が重いことといったらない。しばらくして、日本橋側から知人がにこやかに登場。信号を渡って野村ビルYUITO・3階のフレンチ「ディブラッスリー アンド スウィートルム」へ。マロン・ピンクを基調とした女性好みの軽やかな店内、50代後半と還暦の男性二人では、落ち着かないが、アルコールの力で楽しめるかと期待する。小島直征おすすめのコースは、スープ、前菜に金目鯛のマリネ、パスタにタラバ蟹と雲母のリングイネ、メインの皿が鴨胸肉のロースト、そして、栗を使ったミルフィーュにコーヒー。
 店の雰囲気と合わない二人が、スパークリングで再会を祝し世間話を始める。既にエフェメラ好きと紹介したが、鉄道好きでコンピューター屋、そして、プレス・ビブリ・オマーヌ繋がりで、さらに、妙心寺となったから、驚くことばかり。どうして、この世代の男性はこんなのかしら、首をひねっても判りませんね。電子制御で電車を走らせたかった人は、鉄道模型でループが理解出来ないと言う、ポイント・ツー・ポイントしか頭にないと言う。空想のレイアウトを『鉄道模型趣味』に書こうとした人が、年を経て、エフェメラ好きとなってしまったベクトルはどこにあったのだろう。阪急電鉄の整備状況やターミナルの構造、複々線の加速状況の関東との比較、それに、またまた、硬券の魅力となるから、「おたく」談義が続く事夥しい。そんな訳で、白ワインは「プイィ フュイッセ クラシック」ミネラルの香りが料理を引き立て、話題をさらに弾ませる。コースの後にブルー・チーズなどをつまんで、フライヤーの交換や流通における効果、人との繋がりについての「意志とスタイル」をお聞きする。わたしも、名鉄電車や名古屋地下鉄の昔話に、楽しい事といったらありません。マン・レイの話題よりもこちらの方が中心だったか、こうした、世間話を詳細に記録しておく事は、あまりよろしくないので、これくらいにしておきたい。友情の始まりなんだろうな、有難う、そして、また、飲みましょう。

Roasted Duck Breast with Steamed Vegetable and Calvados Sauce