国立国際美術館 レセプション


挨拶される館長の山梨俊夫

「コレクションの誘惑」展のレセプションに出席した。美術館の魅力は常々、その館の収蔵品にあると思っているので、今回の招待状をいただいた時から、ぜひとも拝見したい、できれば内覧会に参加したいと願っていたのでよかった。
 まず地下2階の会場から拝見する。展示は時代順(パブロ・ピカソから始まる)に国内作家と海外作家が共存して進行する。もちろん、ツァイト・フォトサロン寄贈品を含むマン・レイ作品が、懐かしい気分を与えてくれるが、今日はマーク・ロスコとヴォルスに眼がいった。荒川修作の「肖像No.1」も良いしヴィレム・デ・クーニングの「水」も素晴らしい。そうした中でぎょっとし、なるほどと同感したのがチラシにも使われているシュテファン・バルケンホールの木彫り彫刻「裸体像(女)」、性器が妙に存在感をもつのでのぞき込んでしまった。もっとも展示品にはビックネームが多いので教科書的な鑑賞になってしまう部分もあると思った。どんな仕事に反応するのかと自分を観察するものも面白い。
 地下3階の展示は写真にあてられていて「イメージ」「時間」「身体」「空間」といったテーマに別かれている。ここでも教科書的な切り口を感じる部分があるが、小さなプリントが次第に大きくなって美術の側へすり寄っていったのではと思った。きどった写真、スノップな写真が混じっている。わたしとしては70-80年代の榎倉康二、椿忠、野村仁が良いし、米田知子の眼鏡(見えるものと見えないものの間)のシリーズに含む物語性に好意を持った。その他では石内都のすごみに迫力を感じた。このところは展示の方法に興味を覚えるので、ヤン・ディベッツの「三枚の写真(遠近法の修正)」と工藤哲己のバネルに、解決(?)の糸口があるだろう。
 ボーダレスの写真表現。アントン・ヘニングの油彩「無題(ピンナップ)」からリー・フリードランダーの写真を連想したし、ロレッタ・ラックスの「ドロテア」は、見れば見るほど油彩だと思った。レセプションではシャンパンと赤ワインを頂き、幾人かの知り合いと世間話。外に出ると雨が残っている状態だった。国立国際美術館は開館して35年、現在の収蔵品は約6300点。今回の企画では写真のシンポジウムに注目しているので、また、来なくてはと思った。

京阪中之島線大江橋駅、右手に日本銀行大阪支店と大阪市役所