ルッカのチャオ友と京都写真クラブ


6009号室 ピクチャーフォトスペース リー・フリードランダー、エドワード・ウエストン、オリビア・パーカー、ロベール・ドアーノ、奈良原一高など

6021号室 ピクチャーフォトスペース Viewing Room 須藤絢子

6302号室 アートゾーン神楽岡 石井康博
恒例の「ART OSAKA」が会場をホテルグランヴィア大阪(こちらの方が交通の便がよろしい)に移して金曜日から開かれている。昨日は東京で用事があったのでパスし、最終日の今日、11時にJR大阪駅に隣接したホテルの26階へ上がった。大規模となったアート・ビジネスは10回を数え、参加画廊は日本の他に台湾、韓国、中国を加え50以上にのぼる。活発な展開の中に、どんな新しい作家が潜んでいるのか、興味深く6001号室から順番に拝見した。
 とはいえ、旧知のギャラリストも多い、ピクチャーフォトスペースのIさんと、昨今の写真マーケットの情報交換をすると、コール・プリント(ウエストンの息子)も高いとの話しであるが、売る事を考えると円換算では厳しいとの事、わたしのような古い写真愛好家は、モノクロ・ビンテージに惹かれる。Iさんに最近お勧めの作家を尋ねたら須藤絢子を紹介された。ラメ入りの大判ブリクラ風写真のデジタル加工には、幾つかの秘密が仕掛けられ、キャッチ感がなんとも今風で作家の容姿と連動しているような感じをもった。絵葉書をお持ちだったので記念にサインをお願いした。また、京都・銀閣寺にあるアートゾーン神楽岡のTさんには、触れるオブジェを薦められた、覗いて楽しむ形態で作家は石井康博 パンチをくらったり、ノスタルジックな街に明かりが灯ったりして、玩具への郷愁が感じられ、価格もリーズナブル、やはりこの場合も作者の容姿と作品が一致する。

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 さて、ギャラリーときの忘れものが出店している6215室に向かうと、今展でもレポートを書いている新澤悠氏と出会った。若い感性にマッチする作品というのは、どのようなものだろうか。わたしの方はエリア1から見始め、後半のタイミグだったので、出品作家の「自分大好き」ブリにいささか食傷ぎみ。こちらが老人になった為だけど、流行にへつらった仕事が多いと感じるのよね、生活を忘れて買いたくなるような作品に出会いたいのだ。---出会いの日は若い時が良いだろうな、わたしが始めてマン・レイ版画を買ったのが24歳の時だったように、若い人には後の人生を決定するような出会いをプレゼントしたい---これは、画商の仕事でした。6215号室に入ると旧友が向かえてくれた癒しの気持ちとなった。窓に掛かるハ・ミョンウンのオブジェ風解釈の若々しさが楽しい(展示の苦労もブログで読んでいたし)。綿貫氏とは昨日に続いての世間話---作家のハ・ミョンウンのクーリエ事情や旧国鉄マンのエリート教育、そしてマン・レイにまつわる話しなどを面白くお聞きした。しつらえた台座上では宮脇愛子の真鍮立体とマン・レイがコラボし、昨日、観たばかりの「月夜の夜想曲」の複製図版が凹凸の間に潜んでいる。---ゆっくりとはしておれない京都に戻らなくては。

6215号室 ときの忘れもの ガラス窓に ハ・ミョンウン

6215号室 ときの忘れもの 左二点:瑛九 右二点:植田正治

6215号室 ときの忘れもの 宮脇愛子 左:真鍮立体 右:「マン・レイへのオマージュ」

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 今日は、午後3時から京都写真クラブの第11回総会が四条大橋西南角の東華菜館で開かれる。お酒を楽しむ会(写真の話しもしますよ)に遅れては大変だ。中宴会場で定刻、森岡代表がクラブ・ニュース(018号 7月8日発行)を手に、先日開催された竹田雅弘さんのフォト・カード展、今年のHow are you, PHOTOGRAPHY?展の進捗、2015年をめどに計画された「京都ビエンナーレ」などの様子を報告。総会は高橋パパを議長に厳粛(まじめ)に進行。自由で気楽な集まりだけど、長く続いているのは、森岡代表のお人柄(これが一番)とお金にまつわる収支報告をきちんとしている事だと思う。2011年度は黒字になったのだからえらい(わたしも経理マンだから、苦労が良くわかる)。新年度の事業計画に盛り込まれた新規プロジェクト(アグリカルチャーフォト、ラブズボディダンス、クラブ・ライカ、家庭に眠るネガフィルムの保存・管理とお祓い)も素敵だし、ライト商会三条店ギャラリーでの「極彩秘宝館」にも心躍る。全ての議案事項が満場一致で承認され、会はお待ちかねの宴会へ突入---森岡パパは「昼下がりの事情」と呼んでいます。「情事」の方は写真が重要な狂言回しの、ゲーリー・クーパーとヘプバーンでしたっけ。
 東華菜館の北京料理は京都風の薄味(中華とすれば)で、家庭的な味付けなのに素材が良いのか美味しい。ビールを一口飲んだ後、わたしが座ったテーブルではすぐに紹興酒を燗で氷砂糖、脂っこい中華(ここでは薄味ですよ)には紹興酒、お砂糖の溶けていくかげんが美味いのよと、ひとしきり蘊蓄。前菜などつまんで飲むばかり、料理の写真を撮っておけばよかったか。同席のO嬢がリコーGR使いなので、わたしとはデジタル兄妹(2型と3型)、ストラップに赤い苺がついて女性モードはよろしおす。しばらくして、新人会員Sさんの自己紹介、竹田さんの展覧会報告、OさんのUFO写真家顛末記、小生の「マン・レイのパリ、1972」の話しなどをマイクの前で。そして、5月にイタリアへ旅行したIさんが発案してのジャンケン大会、賞品はフィレンツェの写真美術館グッズ、赤く塗られたエンピツには白文字で「MUSEO NAZIONALE ALINARI DELLA FOTOGRAFIA」と---サザエサン・ジャンケン五連勝の実績があるのに負けてしまいました(残念)。そうこうしていると、東華菜館名物のチャーハン登場。ここのチャーハンはパラパラして美味しいのよ、油がまわらないうち(もちろん京都風のさっばりですよ)に食べなくちゃと高橋パパと争奪戦。ママに聞くとコースの「水餃子」を特別に「チャーハン」へ変更したとの事。「東華菜館のチャーハン食べさせてくれないなら、総会に出席しないよ」と、パパをいじめたのは何時だったけ(ゴメン)。はしゃぎすぎて、紹興酒をこぼしてしまった。いけないですね、ちょっとセーブしなくちゃ。中華料理は人数が増えると出し物も充実する、今年のデザートは飴入り揚げ餅と杏仁豆腐となって、満腹状態となりました。

乾杯の発声は長老(?)・金井杜道氏

Oさん愛用のリコーGR-3型

写真はもっぱらスマホでとSさん

チャーハン同好会のみなさん

今年も、チャーハン美味しゅうございました。

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 フランス語も堪能なマザーレイクの写真家からマン・レイの写真集「写真は芸術に非ず」(2009年刊)をわけて頂いた。アマゾンで以前から買いたいと思っていたところなのでとても嬉しい(わたしのマン・レイへの関心を旅先で思い出してくれた事に感謝)。これにはハーバート・モデリングのテキスト(三カ国語)がついて、昨今の研究成果を知ることができる。モデリングマン・レイ研究の第一人者、わたしもパリにいたならばと羨ましい。
 そして、本日のハイライト。会場でマザーレイクの写真家が見せてくれたマックの画像には、美しい若い娘が映っている。写真家いわく「顔いい、身体いい、気立ていい」いやあ---羨ましい、写真家は僕の「チャオ友」とご機嫌で教えてくれた。撮影はイタリア中部トスカーナ地方の古い街、ルッカマン・レイの写真展(ジュリエットの50の顔 1941-1955)が最近、開かれていた街なのでわたしにも親しい。レストランはサン・ミケーレ広場に面してあるのかしら---
 お開きには、京都写真クラブ恒例の集合写真。写真家ばかりなので、それぞれのカメラを東華菜館のホールスタッフに預けての撮影。毎回、同じ人にお願いしているので、今年はお名前も教えてもらった。クレジットを入れなくちゃ。


ルッカのチャオ友 わたしなど注文するのに声うわずりまくりだよ。

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京都写真クラブ第11回総会記念写真 撮影:杉尾

3時からの総会だったので、外は明るく鴨川河畔に横からの光が美しい。

二次会に行きましょう。

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 遅れて外に出ると、東華菜館のファサードでは和服美人をモデルに即席の撮影会、しまった出遅れた、ベストポジションが確保できないぞ。総会参加者の半数近くが二次会へと裏寺に向かう。日曜日夕方の河原町は人であふれ、これから食事でもと云う人々でごった返している。こちらはすでに酔っぱらい状態で、アポイント無いままの多人数なので、どの店でも断られて難民状態。若いNさんが走り回ってくれるも、簡単には空きは見付からない。気楽に立ち飲みといったATHAがあれば良いわけだけど。結局、木屋町三条下ルのCASUAL BARカントに落ち着き、赤ワインでそれぞれの馬鹿話。K課長とお仕事具合、NさんとはC62の函館本線ゴールデンコンビ話に盛り上がり、Tさんとも「マン・レイのパリ、1972年」のコラボ計画、お店のシャルドネを飲み尽くす勢いで、パパは双子の美人姉妹に感激、もちろんウハウハ状態です。遅れて参加のMさんも登場してさらに盛り上がるも、交通機関の事情が許さなくなる人も----
 カントの前で、またまた恒例の集合写真---巨匠お二人のカメラ・ホールドはお手本で、こちらは酔って証拠写真を失念、通りすがりの女性にシャッター押してよなんて流れに期待する訳(困ったものです)。珉珉に移動して湯麺、餃子、ビールと続けての馬鹿話、どんな話だっけ。今宵は久方ぶりのNさん登場で、飲まなくっちゃとさらに一軒。明日は大事な発表があると云う和服のNさん先導で、最後は白ワイン(後で写真を見るとブレブレだった)。そんな訳で気がつくと12時35分、急いで四条まで走る、寺町側の入口はクローズしていて、ちょっと慌てたが阪急電車の桂行き最終電車に間に合った。今日も面白かったと帰宅してネットサーフィンをしばらくしていたら、4時30分を過ぎてしまった。決算処理中の経理マンにとって、忙しい週なのに大丈夫かしら、「ルッカのチャオ友」可愛いな---


スーパーセミイコンタにカールツアイス、かっこいい 手ブレが始まってます、酔っています。

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珉珉の湯麺は、飲み〆のざる蕎麦に匹敵する美味しさ。

パパも温泉状態で「いい湯だね」。寺町御池下ルのお店の名前、なんだっけ。
 後日、NさんのFacebook報告でWine Bar Liberoと判明。彼の写真はピントが合って手ブレも無い、リコーGRのせいにしようかしら。