大エルミタージュ美術館展 at 京都市美術館



開館10分前に京都市美術館へ到着すると100人程が並んでいた。土曜日とあって「大エルミタージュ美術館展」は込むだろうと覚悟しての入館だが、真っ直ぐ「20世紀マティスとその周辺: アヴンギャルドの世紀」の部屋へ向かう。名古屋市美術館でもちらっと観たマティスの大作『赤い部屋』(1908年)が、400年と続く西欧絵画の到達点であるかのように飾られている。他の観客は居ないので(9時7分だった)、眼福の瞬間。最近マティスが好きになってきたので、吸い寄せられて行ったけど、右側出口の外光が眼にちらつき、青い看板の発色が絵の色彩を台無しにしている、スペースの関係とはいえ下手な展示で「置きました」と云う感じだね(文句をいっちゃいけないか)。その左に同じくマティスの作品で『少女とチューリップ』(1910年)が掛けられている。モデルになった少女はジャンヌ・ヴァラドン(マティス夫妻からジャネットと呼ばれた)で、ブルーの背景に首を傾げた少女の身体が斜めなって絵全体のリズムが素晴らしい。眼に心地よい作品である。この部屋にはアンドレ・ドランの『木立』(1912年)などもあって見とれた。しばらくしてから、第1室に戻りゆっくり大コレクションを拝見する。ティツィアーノの『祝福するキリスト』(1570年頃)はさすがだと思ったし、エリザベト=ルイーズ・ヴィジェ=ルブランの『自画像』には、ほんとうにこんな美人なのかしらと見入ってしまった。そして、雪景色の中での決闘シーンに物語性を感じるジャン=レオン・ジェロームの『仮面舞踏会後の決闘』(1857年)、ピエロの胸を染める赤い血の劇的効果については、テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」で得た知識だった。二時間程で外に出たが、入館待ちの行列は出来ていなかった。
 さて、展覧会の後に府立図書館へよって「五月革命」に関する資料を物色し数冊借りだした。これは12月の展覧会「マン・レイのパリ 1972年」の位置づけを考えるのに必要な訳。今日は東海道線での読書タイム。2時間ほどゆっくり読みながら帰省した。

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五月革命」3月22日運動著 西川一郎訳 合同出版 1968年12月5日発行

見返り頁には「これは始まりに過ぎない 闘いをつづけよう」Ce n'est qu'un debut continuons le combat とある。