大分・湯けむりグルメ旅-3


大分自動車道 由布岳
由布院は鉄道ファンだった44年前、蒸気機関車を撮るために訪れた。鹿児島からの夜行列車で大分に着き、豊肥本線で8620を捉えた後、九大本線に移り由布院駅で降りた。当時の温泉宿の記憶はないが野矢側に向かって歩き隧道でカメラを構えたと記憶する。線路は南由布から由布院へと大きくカーブし勾配となっていて、俯瞰して観ると駅毎に蒸気機関車の煙が立ちのぼり、由布岳をバックに近づいてくるパノラマが素晴らしかった。運用はD60形式だったろうか(古いアルバムを取り出さないと判らない)。高速道路を走りながら高校生の頃を思い出した。
 今日も良いお天気、阿蘇くじゅう国立公園山麓を快適にドライブ。山田別荘で惹かれた小鹿田焼きの郷に向かって九重、玖珠と抜けて行く。手許のカメラは広角だから、景観を上手くとらえられないね。焼き物の郷は日田のインターチェンジから山間に入って15kmほど、ナビが頼りの道行きをしばらく続けると、山間に登り釜の煙、ちょうど火を入れているタイミングでの訪問となった。
 川沿いの集落(皿山地区)は、水車を回し共同で昔ながらの焼き物を作る。開窯は江戸時代中期、以来300年、一子相伝で引き継がれた10窯--坂本(4)、黒木(3)、柳瀬(2)、小袋(1)--が半農半陶で細々と伝えてきたと云う。しかし、昭和の初め民芸運動柳宗悦に賞賛され、バーナード・リーチの逗留も相俟って、日本だけでなく世界に知られる焼き物となった。特徴的な技法は打ち刷毛目、飛び鉋、打ち掛け、櫛描きなどで、京都の民芸店で見ていたのが、この小鹿田焼きだったと合点した。素朴な味わいで記念に欲しいなと、各窯をブラブラし数点を買い求めた。近年はブームのようで観光客も多い(我々もその一人だけどね)が、陶芸家と云う作家活動をせず、焼き物に名前を入れず、共同体意識での作陶。集落には若いお嫁さんも幾人か嫁いでおられるようで、子供の声も聞こえ、誠実に生きていく日本人の暮らしの美しさに感心した。

水車で唐臼、近くの山からとった土を粉末にする。

天日干し


素焼き釜

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さて、日田市に下り贅沢に鰻の昼食。「千屋」のひつまぶし(日田まぶし)は、案内によると三河へ旅した先人が、食べ方と美味しさに驚き帰郷して始めたと云う。三つの味を堪能いたしました。そして、上町通りに沿ってブラブラ、日本丸館も面白いし、薫長酒蔵も楽しめる、旭饅頭の元祖栗そば饅頭も美味でした。お腹が一杯になった後は、大分自動車道を戻って、大分・湯けむりグルメ旅、最後の湯に入らなくっちゃ。

薫長酒蔵資料館

日田まぶし 千屋

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塚原温泉 火口乃泉

連休のためか、沢山の入浴客。運良く隙間からパチリ、良い気分です。

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高速道を下り、別府湾沿いに別大マラソンのコースを走りながら振り返ると、別府の街が西日に包まれて美しく、東洋のナポリ(行った事ないけど)といった雰囲気だった。大分市内のトキワ百貨店で土産物を求め、京都への最終新幹線に間に合うよう、大分駅18時42分の「にちりんシーガイア20号」に乗車。改札口で若い友人がいつまでも、ニコニコと手を振って見送ってくれた。有難う、楽しい三日間だった。

日豊本線 大分駅 815系