「レンズの見た夢」展カタログ 21.9×15cm 200頁
ある方から、2005年9月に北九州市立美術館分館で開催された展覧会のカタログを頂いた。『レンズの見た夢』と題され、副題として「記憶を持った鏡の歴史 島根県立美術館所蔵 写真コレクション展」とある。最近、国内コレクションの巡回展などは、マン・レイ受容史研究の項目から外し、エフェメラの収集も1996年以前とする方針(部屋が狭いものだから)にしたため、前述の展覧会の確認をもらしていた。それを、指摘し親切に送って下さった、有り難い事である。マン・レイ写真の出品は13点(カタログ図版掲載8点)であったが、写真の通史を俯瞰する展覧会で、写真表現の基幹に沿った解説が蔦谷典子(島根県立美術館)と大久保京(北九州市立美術館)によって纏められている。先程からカタログの頁をパラパラ捲っているのだけど、アートディレクションをした藤田公一のセンスの良さに感心した。表紙と裏表紙に開けられた直径5mmの穴に、表紙側は銀色の裏刷りが覗き、裏表紙側は白色が覗く。開口部と次頁の処理はアイデア倒れになる事が多いが、サイズや色彩、タイトル表記とのバランスなど、神経の行き届いた仕事だと思った。尚、出品目録を見ると参考作品にマン・レイのオブジェ3点の記載があったので、これを観に北九州まで出掛けても良かったと反省した。