便利堂とゴッホ展


便利堂 コロタイプギャラリー

コロタイプ印刷機 ギャラリーから工房を覗く事が出来る。
4連休初日、新町通竹屋町下るの便利堂京都本社併設のコロタイプギャラリーを訪ねた。会場は4月1日オープンで植田正治生誕100年記念のコロタイプポートフォリオ『童暦』(2006年刊)が展示されている(5月6日まで)。丁度社長のS氏がいらっしゃったのでコロタイプの素晴らしさをお聞きし、工房の見学もさせていただいた。手入れの行き届いた小型機4台と大型機1台が置かれている。黒光する油と下部の水、歯車の強度などに見とれる。機械には「NAGOYA MITANI」の銘板、ローラーが回転していたら感激するだろうな(本日はお休み)、コロタイプを使って作品集を創りたくなった。「コロタイプ技術の保存と印刷文化を考える会」があるので、会友申し込みをしなくては。
 その後、岡崎に移動し、みやこめっせの「春の古書大即売会」に参戦。戦前映画資料と鉄道関連、絵葉書物に興味引かれたが、我慢ばかりの数時間。開催3日で落ち葉拾いも困難だけど、マン・レイ関係がびっくり登場と云う訳にはいきません(残念)、それで、京都市美術館で開催中の『ゴッホ展』---空白のパリを追う---に並ぶ行列へふらふらと続く。人が多いしミーハー気分だしと期待していなかったのだが、楽しめました。さすがのゴッホです。今展は52点のゴッホだけ、それで、集中して拝見できたのだと思う。特に初期作品が良かった「秋の夕暮れの情景」「石切り場のみえるモンマルトルの丘」「グラスのある自画像」。印象派の影響を受けた後のゴッホらしい自画像の後光が射す筆遣いはなるほどの一点だった。展示にはいろいろ工夫がなされ、作品の下段の解説に従うのも面白い。例えば、「ヤマウズラの飛び立つ麦畑」の上段を囲んで「ヒバリ」と「ヤマウズラ」の剥製が飾られている。「飛んでいる鳥は?」の問いかけに画面中央の小さな姿を眼で追う訳で、光溢れる麦畑がなんとも心地よい。

京都市美術館ゴッホ展』に並ぶ人達(当日券があれば、すぐに入れます)

会期は5月19日まで

カタログ「グラスのある自画像」(1887年)

      • -

ユニテでアンドレ・ケルテスの写真集を見ながら休息、第二回の古本市も盛況の様子で、こんな広々とした空間で本に囲まれて原稿など書きたいなと思った。小雨も上がり冨小路通三条上るのH2Oに寄って「便利堂 美術絵はがきの歩み展」を拝見。自転車で市内を回ってリフレッシュの出来た午後だった。

H2O案内葉書 15×10.5cm 会期は5月5日まで