北山善夫のオーラル・ヒストリー


美術家・北山善夫(1948年〜 )
北山さんとは、80年代の初めに阪急電車の車内で話しかけて以来、佐谷画廊や豊田市美術館など何故か不思議にバッタリ出会う事が多い(どうしてだろう)。今日の午後も図書館に出掛ける用事で外出したら西大路通高辻の交差点でバッタリ、西院にお住まいのお母さんの為の買い出しと言っておられたけど、近況などしばらく立ち話。
 実は、数日前に「日本美術オーラル・ヒストリー・アーカイヴ」のインタビュー(青木正弘、坂上しのぶによるインタビュー、書き起こし坂上しのぶで7月28日公開、文字数およそ59,000)で、氏の生い立ちや芸術感を読んでいたので、絶妙のタイミングに驚いた。長く北山さんの仕事を見守ってきた青木正弘とギャラリー16にいた坂上しのぶ嬢がひきだす北山善夫の秘密ですから、面白くて、卒倒するのは当然なんだけど。北山さんは「小学校3年の時に腎臓病やったんですよね。それからずっと長期入院ですわ」と生死の境を生きてこられ、正規の美術教育とは距離を置き独自の哲学的な思索で自己を見つめる仕事をされてきた、故に作品の深みが最近の作家とはまるで違う。青木は美術家北山は「絶対腎臓病が創ったね」と言い切っている。北山さんのヴェニス・ビェンナーレの裏話も面白く、性欲を描いたスケッチの話しには、さらに七転八倒、もとい抱腹絶倒した。そして「作家は2度売れない」と云う指摘もなるほどど納得するものだった。
 批評家だけでなく、美術作家であっても記述された本や資料による批評や歴史が、特権的・部分的・功利的な側面によって、真に生きている人間の表現欲求を蔑ろにしてきたと思うわたしにとって、近年、学術的な価値も認められるようになった口述資料に、大きな期待を寄せている。面白いし、考えさせられるし、ネットによる普及は有意義である。

詳しくは、北山善夫オーラル・ヒストリー 2012年3月19日、青木正弘、坂上しのぶによるインタヴューを参照。(http://www.oralarthistory.org/archives/kitayama_yoshio/interview_01.php