壬生狂言


西新道錦商店街

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三連休最終日、今日も良いお天気で気持ちが良い。昼からカメラ片手にぶらぶら散歩。光りの案配がよろしいのでパチリ、パチリ。独身時代に撮影した『双面劇場』シリーズの建物が残っていて、懐かしいカメラ目線。30年以上経っていますからね。壬生寺の境内に入ったら狂言の特別公演が行われている。観賞料800円とあったので、ふらふらと入場。前から観たいと思っていたので、良いタイミングだった。
 狂言堂では「大原女」が演じられていたが、黒光りする木造建屋に紫の幕、女たちの赤や桃色の着物といった取り合わせに、秋の光りが射して、色彩効果も素晴らしい。酒を楽しむお大尽と老婆のやりとりに「大原女」の色香が重なって滑稽に演じられ笑いをさそう。若い女性が着物をはだける仕草がよろしい、帯のお太鼓は前に結ぶのかしら。かね・太鼓・笛の囃子に合わせて無言劇で演じられる形式は庶民が遠くからでも見て判る為のもので、仮面を付けた所作が、様式化されて美であると思った。狂言堂の軒に花が垂れ下がりいっそう華やかな雰囲気だった。
 続いての演目は「鵺(ぬえ)」。頭が猿、尾が蛇という怪獣を退治する話しだけど、とりつかれた女性が着物を脱がされる場面から始まるのも興味深いし、「獣台」でのつな渡りの芸や飛び込みなどの活劇にびっくりさせられた。考えてあるんだね面白いのです。仮面を付けた演者の首振りの所作が、止めと戻しで、生身の人間から虚構に変わるところなど上手いと思った。わたしは演劇を見るときに、演者が引き下がるそでの処理が気になるたちなので、退治された鵺(ぬえ)を舞台から消す方法を注目していたところ、観客に背を向け、首を切り離された瞬間に、さっと直線で消える仕草になるほどと思った。猪早太が鵺(ぬえ)の首を掲げて示し、観客の視線を誘導した訳だね。
 散歩と称して外出したので、ここまでで帰宅。次回は家人と一緒に観賞しよう。一日観賞しても800円だから、よろしいよ。

狂言堂は撮影禁止でした。

壬生寺境内 4時30分過ぎ。