土渕信彦と瀧口修造展-2


日本橋 朝10時

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朝風呂に入ってゆっくりしてから(日曜美術館など観てました)外に出ると風が冷たい。東京の地下鉄は乗り換えの利便性が判らないので、混乱しつつ三越前から新橋、溜池山王麻布十番と移動し、お世話になった先輩のお墓参りをする(詳しい報告はいずれしたい)。昼過ぎにJRの恵比寿に出て、リブレリーシスを覗く。妖精のような佐々木聖さんの書店兼画廊は、マン・レイ展も行ったフィリップ・スーポーがパリで開いていた書店の再来で、大阪のアートフェアーで彼女と知り合ってから訪ねたいと思っていた店。丁度、古書市の開催中でシュワルツの目録を頂戴した。シュルレアリスムの貴重書がディスプレーされた店内は、うっとりするほど、ドラマティックでした。しばらくお話していると、未見のマン・レイ本が登場してびっくり。お願いしたけど非売品との事、困ってしまいます。その後、東京都写真美術館によって調べ物。東京に住んでいれば良いのだけど、京都人では、なにをするにしても時間がかかります。

リブレリーシス 桜の樹のある木造アパートの3階(右端)


トワイヤンの案内状 素敵なタイポグラフィーです。

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調べ物に時間がかかり、TS4312がある四谷三丁目に着いたのは5時前となってしまった。居酒屋あぶさんの看板があるビルを9階まで上がって、扉を開ける、画廊というより隠れ家といった雰囲気、靴を脱いでの観賞だった。八畳ほどの部屋に瀧口作品が飾られている(17点ほど)、どれもが土渕信彦氏のコレクションでドローイングとバーント・ドローイング、ロトデッサンが選ばれている。見覚えのある作品が多いが、氏にお聞きすると新収集品もいくつかあった。
 展示場の右が居間になっていて、旧知のJさんが声を掛けてくださった。昨今の画廊は話しをする場をなくしてしまっけど、本来は、いろんな人が出入りして情報交換をしながら切磋琢磨していくもの、サロンのような空間を用意されたとのお話だった。お聞きすると、東京在住の美術愛好家たちの集まりである美楽舎の人達の多くが参加されているとのお話。世代的には10歳ほど先輩になるだろうか、昔の自由が丘画廊やツァイト・フォト・サロン、ギャラリー16が持っていた雰囲気だと思った。
 店主の沢登文夫氏は南画廊を原点とするコレクター、筋金入りのキャリアをお持ちであり,居間の方に売り物の瀧口作品を並べられていた。土渕コレクションを楽しみつつ、購入の楽しみも充足できる、文句なしの空間となっている。

四谷三丁目 左側にサワノボリビル

土渕信彦コレクション「瀧口修造の光跡 IV 手が先き、先きが手」展 at ギャラリーTS4312

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6時からのギャラリートークは立ち見がでるほどの盛況でスピーカーの土渕氏の力も倍増されたように思われた。氏にとっての瀧口修造、瀧口との出会いから今日に至る自分史を語られる側面もあって興味深く、また、会場に参集されたのが著名の文学者や研究者、名だたるコレクターといった方々なので、研究世界や画廊界のコアな話題が盛り込まれ、興味深く面白かった。主催者の方が録音されていたようなので、いずれ活字にされるのではと楽しみである。
 トークの後で、ワインを飲みつつ懇親をしばらく、みなさん自己紹介が上手い、ずっと話しをしていたかったのだが、最終の新幹線(東京駅9時20分発、京都11時31分着)で京都に戻った。東京駅まで送って下さったHさん有難うございました。

土渕信彦氏によるギャラリートーク瀧口修造について」

大阪行き最終 のぞみ265号