網代(あじろ)と葭戸(よしど)

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吉田孝次郎さんのお宅で催された「京町家歳時記」に家人と参加した。第1回は「冬座敷から夏座敷へ 〜夏の室礼を楽しむ〜」との内容。祇園祭宵山で吉田さんのお宅の屏風飾りを愉しませて頂いた者としては、先祭と後祭りに戻るエボックな年に、山鉾連合会の理事長さんのお宅で、お祭りを向かえる町衆の生活の様子を拝見したいと思った訳。幸い、家人も乗り気になったので、二人して暑い新町を上がっておじやました。「白生地」を扱っておられた吉田さんのお宅は、明治42年(1909)の棟上げと云うから、築105年、「表屋造り」の典型と云う京町屋、お祭りで通りからのぞく姿と、内部の空間の違いを堪能させて頂いた。光が違うのです、自然な光を取り込む意匠が意識されていますね。使役をともなうと云うか、体験学習的な2時間だったけど、楽しく過ごさせて頂いた。拙宅の網代などとは比べものにならないけど、京都の人は、100年を単位に、100年使えればタダといった感覚で、常は始末をしながら、長いスパンで日常の品物を揃えられた。吉田さんのお話をお聞きしながら、なるほど、そうそうといった事柄の連続だった。家人が日頃言っていることが、そのままなのです。
 お手伝いをさせて頂きながら、光の様子がどんどん変化する町屋の空間に、魅了された。とても良いのです。御当主の定位置から掛け軸を拝見しながら、お祭りが、本来の姿にもどる期待が、わいてきた。今年の祇園祭り、お祭りの設えになったら、どんなに素敵だろう。