秋月俊也さんの進行で、金城静穂さんのお話をお聞きした。
APIED VOL.1 2002.4
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文芸誌『APIED』の創刊号(特集: カフカ『変身』)を装幀家の間奈美子さんに、教えて頂いてから、12年も経っていたとは、信じられない時の流れだ。以来、最新22号の「ジュネ&コクトー」特集まで、年2回のペースで発行をつづけられている。各号の書き手には著名な方も多く、読み応えのある雑誌になっている。編集と発行をされている金城静穂さんのトークが、勁版会(第326回例会)で開かれるというので、参加させて頂いた(前回参加は2月21日)。
同誌を「個人誌」と位置づけ、興味ある作家だけを、独断と偏見で選び、出版にまつわる細々とした事柄にも対応しながら、続けられる情熱は、素晴らしい。新鮮な感動をもらい元気がでるのだとのお話。毎回20名程の書き手におおよそ8枚(400字詰)を依頼されるそうで、いろいろな視点の原稿で紙面が構成されるよう考えておられ、読む側も、論考あり、エッセイあり、連載ありで、マンガや絵画の掲載頁など、ビジュアルな配慮が整って、「個人誌」とは思えない充実ぶりは、尖っているといった印象かな。金城さんのどこに、情熱がと言いたいところだけど、しずかな話しぶりのなかに、いくつも、鋭い指摘が含まれて、勉強させられた。例えば、「私の感受性が新鮮じゃないといけない」「私が作りたいと思うのが一番のモチーフなの」「あまりマイナーな作家にすると、20人ぐらいが同じような事を書いてしまう」「男性の書き手は、書き始めたら硬くなってしまって、格好良くしたいと思うのでしょうね」などなど。山下陽子さんの表紙画のセンスが『APIED』の性格を語っているのは、当然だけど、書店で手に取ってもらうための戦略があるのかもしれない。銀紙書房では、こうはいきませんね。
書容設計、頁デザインなどは、お嬢さんが担当され、インデザインを使って完全版下を準備されるとお聞きした。ゆっくりと「歩いて」いかれる雑誌の立ち姿の美しさを見守っていきたい。祇園町の女性の背筋の通った凜とした姿に通じるような、雑誌だと思った。なお、金城静穂さんは、『APIED』のホームページを開設されておられるので、クリックされる事をお薦めします。姉妹誌『CINEMA APIED』も好評だそうです。
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その後、勁版会のみなさんと、近くの居酒屋で二次会、飲み放題2時間、リーズナブルな価格設定で堪能いたしました。どうりで、サラリーマンが多いと納得。遅い時間に帰宅しました。