全日会報


全日本学生写真連盟の機関誌である「全日会報」をある方から頂戴した(と云うか、おねだりした)。昭和41年7月2日付けの第56号から昭和43年4月20日付けの第62号まで(第61号が抜けている)の6回分である。これまで、全日本学生写真連盟の活動を話題にされる人は少なかっのだが、昨年、東京都写真美術館で開かれた「日本写真の1968」展(企画・構成: 金子隆一)の影響からか、見直しの機運が高まっている。実際にかかわっていた者たちが、やっと、語らねばと思うに至った時間の経緯と現在の状況があるのだろう。「中部学生写真連盟高校の部」に参加していたわたしの場合「全日会報」をしっかり読んだかと問われると返事に困る。雰囲気的な写真作業だったのかと反省する部分も多い。40年ぶりに読んでみると東松照明氏の「アマチュアとプロフェッショナル」と題した文章が、二回に別けて掲載されていた。その中で「アマチュアは、発表の場を自分自身の手でつくりだし、縦横の連絡を密にして組織をゆるぎないものにすることである。一方プロフェッショナルは、身につけた専門知識をテコとして、人間の自立の方向に歴史をつくり変える努力を怠ってはならぬ。」(第59号5面)と記している。
 わたしは「発表の場を自分自身の手でつくりだして」きたつもりであるが、「連帯の挨拶」を交わす事はしただろうか、あまりの「個人主義」で、うだうだと過ごし、還暦をむかえてしまった。学生時代に撮った写真を再検討しながら、「人間の自立の方向」への努力を続けなくてはと思う。
 「全日会報」で示された「方向」の検証も必要だろうな、何処かの美術館で「中部学生写真連盟」をとりあげた企画展をしてくれないかしら---。