デルボーのベリエ邸、扉絵


ヤマザキマザック美術館(名古屋・新栄)

名古屋も暑い。帰省したので気になっていた『ポール・デルヴォーとベルギー近代絵画---近代によみがえる古代の夢---』展を拝見した(ヤマザキマザック美術館、9月23日まで)。ベルギーは空が低いのだろうか、夜の「青」と云う独特の色彩の中に雲が浮いている幻想的な魅力が、隣国フランスのロココから続いているような印象を与える展覧会(会場故ですが)だった。今回の展示には姫路市立美術館からロップス、クノップフ、アンソールといった19世紀から20世紀初頭の絵画が貸しだされているので、ベルギー好きの人達はもちろん、シュルレアリスムに関心を持つ者にとっても良い展示だった。マグリットデルヴォーの背景が良く理解できるのである。特に展示室を進んでペリエ邸の客間が再現された空間に置かれた、4点の扉絵の構成には、ぞくぞくとした。担当者の話では、ベリエ邸の室内装飾が取り外された後、扉絵全4点の内、3点(立てる女、女神、乙女たちの行進)は姫路市立美術館、1点は(二人の女)ヤマザキマザツク美術館のコレクションになったとの事で、表面修復には取っ手の後が認められ、裏面には「ペリエ邸の扉絵」であると証明するデルボーの書き込みが認められるという。デルボーの一点透視図法が、各扉絵から連なって会場内の消失点を形作っている。ヤマザキマザックの会場でなければ体験できない、贅沢な感動だった(感謝)。

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