マン・レイ訪問記


25.5×20.4cm pp.36

    • -

お祭りの間に、ニューヨークから小冊子が届いた。『寄せ集めた思い出たち / マン・レイ訪問』と題したポール・レーヴィットによる回想と写真。著者は10代だった1972年の春休みに、ローマからパリに旅行しフェルー通りのスタジオにマン・レイを訪ね、凡そフィルム1本分の写真を撮っている。デュシャンマン・レイに関心を持ち、シュワルツ画廊で紹介されての訪問だったらしい。その後、記念アルバムを作ってマン・レイに気に入られジュリェットと交流。本書は40年を経ての回想記となっている。マン・レイを撮った写真と送られて来た絵葉書(Pain Peint or Blue Bred)で飾られた本書は、わたしのマン・レイに対するアプローチの先見的な仕事で、小冊子を手にしたとき「やられた」と思った。マン・レイと言う人は気むずかしいと評されているが、仕事に敬意をはらう若い人には、フレンドリーだったのを物語る貴重な資料が本書である。ポール氏は現在、ハワイのカイルア在。自費出版のようなので本書が日本で注目される事を期待されている。尚、序文はデュシャン研究家のフランシス・ナウマン氏、文中にはマン・レイの姪っ子、ナオミ・サベージ氏との交流への言及もある。