几帳面なサイン

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8日(木)に岡崎へ出掛けたのは、12日(月)が最終日となる『マグリット展』を見直すためだった。会場が狭いので文献資料の多くが割愛されているとはいえ、重要作が並ぶ大規模展示。平日の午後だったのでゆっくり鑑賞できると思ったところ、会場は満員電車状態で、中年女性の団体が多い。時代がマグリットに追いついたと云うか、シュルレアリスムの方法が、時代に驚異を与えなくなったのか、複雑な印象である。
 8月3日に拝見した時と違い、今日は『冒険の衣類』(1926年、DIC川村記念美術館)、『恋人たち』(1928年、オーストラリア国立美術館)、『新聞を読む男』(1928年、テート)、『禁じられた書物』(1936年、ベルギー王立美術館)などに興味を持った。他の物も含め見ているとマグリットの几帳面なサインは画面に並行ではなくて、ほとんどが斜めに書かれていて、自己主張があると感じた。他の画家の場合は画面との調和を感じるのだけど、マグリットの場合は画面の静寂と齟齬がある感じ(サインが几帳面なのでなおさらの感)。仮面を被りつつもサインだけが「私」を主張する。例外としてサインが荒荒しいのは『巨人の時代』(1928年、ヒラリー&ウィルバー・ロス)だけかと思った。

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府立図書館 マグリット風にしてみたのだけど。

『巡礼者』(1966年、ヒラリー&ウィルバー・ロス)

平安神宮 大鳥居

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主催した読売新聞によると、会期中の入場者数は190,062人との事である。