洪水 第十九号


25.7×18.2cm 120頁 洪水企画/発売:草場書房 定価本体1000円+税

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池田康さんが編集・発行されている詩と音楽のための雑誌『洪水』第19号が発行(1月1日付)された。今号の特集は「日本の音楽の古里」---身近であるが故に改まって論じるのが非常に難しいテーマだと思う。わたし的には、民謡が身体に入らず身体の上を舞って通り過ぎた感覚。小学校唱歌西洋音楽すぎて、今ひとつ。三河万歳の門付も視覚的なインパクトの方が強い。ジャズは18歳になってからなので、原音楽は美空ひばりの演歌になるのかな、そんな、先入観を持っていくつかの論考や対談を拝読し始めた。どの稿にも興味をもったが、佐藤聰明氏の「薄気味悪い」と編集の池田康氏が寄せた「幻の古里への道標をさがす」にひかれ、関心領域との関連から平川綾真智氏の「「シュルレアリスム」と音楽の決裂(2)」の頁で手を止めた。
 編集後記によると同誌は次号で終刊との事。10年にわたって池田さんが「詩と音楽」に打ち込んだ楔が、横につらなり、最終号の発刊をもって、既成権力で凝り固まった岩が、真っ二つに割れるであろうことを、期待を持って観てみたいと思う。次の特集は、なんだろう?