瀧口修造・岡崎和郎 二人展


明けましておめでとうございます。at ozasa kyoto

堀川今出川のozasa kyotoで、『瀧口修造岡崎和郎 二人展』が始まった。瀧口(1903-79)は詩人で画家でシュルレアリスムを生き、批評家ではなく友人へのオマージュを深夜、指先から紙の上に移して語った希有な個性。一方、岡崎(1930-)は「一貫してオブジェに取り組み、86歳を越えた現在も「御物補遺」「Who's Who」「HISASHI」の各シリーズを精力的に制作している」現代美術家。この二人が「マルセル・デュシャン」を触媒に晴明神社の北側にある西陣織会館西館二階の空間で、親しげに語り合っている。初日に拝見させていただいた感想は、二人展であるのに緊張の火花よりも、デュシャンに対する共通の「愛」といったもので満たされ、瀧口・岡崎・デュシャンの三人が「エロティックな運動」をしていると思った。若き日からコレクションを続けてこられた土渕信彦の「眼と手」が「空間」を取り仕切り、観る者に「眼福のおすそ分け」を振る舞っている印象。作品相互の関係で複雑に絡み合った「愛」が画廊主小笹善朋の展示センスによって上手く演出されている。絶妙な壁面の1cm、台座の1cmの心地良さは会場で体験しないと判らない---展覧会は2月12日(日)まで(月・火休廊)「東京ではないですよ、京都だからこそ出来る展示です」と声を大にして御高覧されることを勧めたい。
 尚、関連企画として14日(土)15:00〜16:30岡崎和郎平芳幸浩 対談「オブジェをめぐって」。28日(土)15:00〜16:30瀧口修造 講演「美というもの」(1962年 富山高校における講演録音再生) 土渕信彦解説。2月4日(土)15:00〜16:00土渕信彦ギャラリートーク瀧口修造マルセル・デュシャン」。が予定されている。

    • -


 会場に森岡パパがいらっしゃたので、二人して土渕信彦氏から収集にまつわる思い出をお聞きする。著名な写真家旧蔵の『マルセル・デュシャン語録』は最初期に入手された一品で、瀧口修造の喪に服して黒いリボンが掛けられていたとの事、『バーント・ドローイング』の2点も著名な女性画家旧蔵品、瀧口から岡崎に贈られた大判『デカルコマニー』の物語も面白い。作品のプロミナンスはコレクターにとって重要な情報に満たされている。ピンク色のエロテックな貝合わせ(?)『ハート(贈物)』の魅力を語る土渕氏の楽しげな声が耳に残る。お祝いのシャンパンをいただきながら、バカ話に興じるのは、なんとも、幸せである。二本目のロゼがまたエロティックで困りました……

    • -



    • -


展覧会を祝し「にこみ鈴や」で、熱燗を一杯、二杯、三杯……