瀧口修造「美というもの」


瀧口修造の研究者でコレクターの土渕信彦氏が保管されている音源を使って、瀧口58歳の肉声(録音)に接する集まりが、ozasa kyotoで開かれた。ほとんどの講演依頼を断っていた瀧口が、卒業した富山高等学校の講堂で同校の3年生を対象に「美というもの」と題して話をしており、誠実な人柄から発せられる「声」は、54年の後のわたしたちに真摯な態度を促す、静かな情熱に満ちている。再生に先立ち土渕氏が「造形の制作を初めていた」講演当時の瀧口について触れられたので、とても解りやすく、関連するスライド上映によって多面的に瀧口の人生が示されたので、合わせて興味深く楽しむことができた。

    • -

    • -



 スライドに示されているのは、自由が丘画廊の「窓越しに....マルセル・デュシャン小展示」会場(1978年)での記念写真(撮影: 安齊重男)。中央に座るのが瀧口修造、右に東野芳明。土渕氏の語るエピソードに森岡パパやOさんなんか、思うところが色々あったのではと思う。瀧口の語った「美について」は、わたしたち自身の「気持ちに触れた」「何か自分で発見するもの」であり、心的なオブジェに通底する思想だと思った。講演の後に、ワインを頂いて歓談。関西にも瀧口ファンが増えるだろうと予感。

 来週、2月4日(土) 15:00〜16:00に、この会場で土渕信彦氏によるギャラリー・トーク瀧口修造マルセル・デュシャン」が催される。瀧口と京都の関係について土渕さんに尋ねてみたい。

    • -