ニューヨークの古書泥棒


19頁 モスク書店 ニューヨーク4番街 1935年

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本日も銀紙書房新刊の作業が順調に進む(残り9冊)。それで、背固めの糊が乾く間に、ちょっと読書。タイトルがよくないので紹介するのは(?)---なのだけど、これが、面白い。パリに渡る前のマン・レイが、フェレール・センターでデッサンの訓練を受けたり、スティーグリッツの画廊291で最新の美術に触れ始めた頃のニューヨークの古書店事情が、泥棒の目を通して、語られている。古本好きとしては興味深く「思い当たる節の多い」話題であり「ブロック・ロウ」の人々の動向も含めて、夢中になって読んでいる。パリの古書店を扱った本は多いけど、ニューヨークなどが舞台となっているのは知らない、マン・レイもこうした店に出入りしていたのかしら。
 最近は芸術論よりも、ノンフィクションに手が伸びる、それも、図書館で借りての読書。二週間の期限はせわしいけど、改めて借りれば良いから、楽しく読ませてもらおう。

 「男の旧住所に書留郵便を送り、封筒の中にカーボン紙を入れておいたのだ。ニュージャジー州の郵便局に着いたら、新住所に転送されるはずだ。」(76頁)---失敗
 「本を借りるのは、現実にせよ思い込みにせよ、貧困、怠惰、知性の不足によるものとされてきた。本を借りることを熱心に勧める記述にはまだお目にかかったことがない。」(137頁)---新刊書を扱う書店主

ラヴィス・マクデード著(矢沢聖子訳)『古書泥棒という職業の男たち』(原書房、2016.1.28印刷)