里見宗次展 at 工繊大・美術工芸資料館

『里見宗次---フランス・日本・タイのグラフィックス』展
京都工芸繊維大学美術工芸資料館で開催中---4月22日(土)迄



Japan 1937年

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18歳(1922年)でパリに渡り、エコール・デ・ボザールで本格的な絵画を学ぶも、父親(大阪の実業家)の死による送金終了の為、デザイナーに転身し広告会社に勤めてパリに暮らした里見宗次については、展覧会を拝見するまで、代表作の『Japan』を除いて、何もしらなかった。マン・レイと同時代のパリでカッサンドルとも交流のあった里見の持ち帰ったアルバムの寄せ書きに「マン・レイ」のサインを見つけて、時代の雰囲気を知りたくなり、熊倉一紗(京都造形芸術大学非常勤講師)さんのギャラリートークに参加した。「Japan」は1936.8.3-9.4と云う短期間に帰国した折に鉄道省の依頼で制作されたポスターとの説明で、展望車(?)からの流れゆく情景を、前景に一本のみの線路、中景に過ぎ去る電柱や日章旗と桜が象徴する日本の農家、後景に静止した小島を配して、実に素晴らしい。新興写真の中に類似するイメージがあるかも知れないし(特急燕など最後尾に展望車を連結した列車も多かったし発表年月が重要なキーワードですが)、満州鉄道との関連(特急あじあ号の表定速度82.5km)も指摘できるかもしれない。鉄道ファン的なアプローチは、わたしだけかしら。

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『Japan』が1937年のパリ万国博覧会に出品され、グランプリを受賞した折の賞状

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P.L.M./コート・ダジュール(1934年)(左) K.L.M./オランダ航空(1933年)

「日仏商業美術関係者による寄せ書き」(年月未確定)マン・レイの他、カッサンドル、コクトー、レジェ、藤田嗣治などのサインも確認出来る。解説パネルには「1935年にパリ・アティカ画廊で開催された日本商業美術展においても里見は大きく貢献し、カッサンドルや写真家のマン・レイらが駆けつけ、フランスにおいて日本のポスターが知られる機会となりました。」とある。

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雨模様の中、学内では白木蓮や桜などが美しい色合いとなっております。