『6月』 at ギャラリーマロニエ



写真のイロハから教えていただいた「中部学生写真連盟高校の部」の先輩である故杉山茂太氏については、折りに触れこのプログで紹介させていただいた。昨年の京都写真展の出品作「bound for」においては2015年2月15日の日付とともに若き肖像を展示したし、今年、上梓した『石原輝雄・初期写真 1966-1972』の「あとがき」で肖像写真を付しての紹介もした。氏から受けた「写真に対する取り組み方」は、その後の50年に及ぶわたしの写真人生(マン・レイ狂いでもある)の指針となった。心から感謝している。本来はきちんとした「遺作展」を組織すべきなのだが、まず、今の思いを込めて、氏が10代後半にまとめた写真集を展示することにした。
 展示のコメントにも書いたが、『6月』は、印画紙を貼り合わせた23枚(46図)のカードからなっている。恐らく東京総合写真専門学校に進み、与えられた課題のラィティング習得や街頭スナップの実践に基づく1968年6月の成果だと思う。しかし、70年安保直前の学生運動が盛んな時代。プロテストの意思が強く、勉学に励むには適しないタイミング。学校長である写真評論家の重森弘淹から学ぶ事柄を見つける事はできなかったと云うか、早熟な杉山氏は、高校時代に「写真」を撮ること「表現」すること「自由」に生きることを、掴んでいたと推測できる。何をいまさらの「街頭スナップ」と云ったところなんだろう。2年前に亡くなられた後、縁あって遺作写真集の『SUD』と『6月』を預かる事となった後輩としては、氏へのオマージュをどう発表するのか、気がかりのまま、この12月になった訳である。幸い『6月』はカード形式なので、頁毎にばらしての展示が可能、会場の制約で7点しか掛けられないが、多くの人に観てもらいたい。そのように思う。
 第18回京都写真展は四条河原町上ル東側のギャラリーマロニエを会場に明日19日(火)から20日(日)迄の日程で開かれる。参加作家は32名、いずれも力作なので、楽しんで頂けると思う。

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以下は『6月』から
 展示(1)

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