ピカソになりきった男

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ギィ・リブ著 鳥取絹子訳『ピカソになりきった男』キノブックス刊 2016.8.13

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 昔、あるオークショナーと話をしていたら、贋作の話題になって「良い絵と、そうでない絵があるだけ」と返答された。贋作者の出自と制作時の心境、参考になる事柄山盛りだった。クーラーの効いた車内での読書が似合いますな、一部、引用しておきたい。

「みんなパイプを吸っていてねそれもバカ長いパイプで、それだと絵を描いていても煙が顔に当たらないのだった」(41頁) 「夕方、販売が一段落したところで、俺はその日に売れた図案のコピーを任された。税関で問題にならないように、その国に入国したときと出国するときの図案の数を同じにするためだった」(45頁)」「贋作を作るにつれ、俺の絵は貧相になった。一度に自分と他人でいることは不可能だからだ」(122頁)「なぜなら贋作で成功するには、手は完全に柔らかく、軽くなければならないからだ。巨匠たちと競うという大きな仕事をすると、現実として画家を萎縮させ、手が重くなる危険がある」(133頁)

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ルパンの店へ向かう途中の車内から