ならず者たちのギャラリー

「こんなふうに、絵の前に立つことができる。だったらお金がなんだというのです?」ポール・メロン(28頁)

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フィリップ・フック著 中山ゆかり訳『ならず者たちのギャラリー』フィルムアート社刊 2018.8.25

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サザビーズの取締役が著した、タイトルからして「おどろおどろ」した書は、極東のささやかなコレクターにとっても、手放す前には読んでおくべき内容と思われた── いわく、契約書にサインをした後の「セール日がちかくなると無情にもその最低希望売却額の減額を強制した」(422頁)。それはさておき、マグリットを扱ったメザンスとの逸話は、関連資料を手許においているので、裏付けとして面白い「恩知らずな」非協力的画家の逸話。マン・レイとの関連では「おしゃべりなことで悪名高く、そして自分が展示した作品について事細かに語り続ける画廊主」(440頁)スティー・グリッツ。リアリテイをもって読める同時代の画商たちの話は、同時代故に「私は美術界の私自身の同僚たちと良好な関係を維持することを尊重しているがゆえに、現存する画商について書くことはここでは可能な限り避けている」(30頁) イギリス人の画商についても新しい知識をもらったので、今後の参考にしたい。

 

車内読書に500頁の大書は、重いですな。

 

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