写真集『郡上』

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18×20cm 頁表記なし。定価1,800円

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昨年末、京都写真展の会場で名古屋の写真家から名古屋女子大学写真部OGが上梓された写真集『郡上』を見せてもらった。発行は2016年1月15日となっているが、撮影は48年前の1968年から1970年頃のものだと云う。ブレ・ボケ・ハイコントラストで捉えられた写真群は『状況1965』や『状況1966』などの「連盟調」といったものだが、時代の熱気、彼女たちの「青春」を色濃く反映している。喫茶店・マイネクライネや全日合宿などで眼にしたであろう50年近く埋もれていた「集団撮影行動と名ずけられた」写真が表に出てきた。同じ時代に同じように写真と取り組んでいた者としては、非常に嬉しく涙モノの快挙と言いたい。あとがきには「そして48年という時が過ぎ、人生でのそれぞれの役目が終わろうとしている年齢になり、日本の写真の歴史の1つとして、写真集という形を残すことにした」とある。女たちにも男たちにも「それぞれの役目」がある、あった、まだまだある、----なんと言えばよいのだろうか。埋もれていた写真の復活は、それぞれの人生の、まだまだ続く葛藤の再燃の問題を孕んでいるとも思う。わたしとしては手軽に写る携帯端末の写真を活用しながら、写真を楽しむ道----若い友人たちの限定数部の廉価なデジタル写真集の上梓など---があることを分かち合いたい。

 今秋には、名古屋市美術館でOGのどなたか(小生の撮ったネガの中の人)と再開できることを願っている。

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ネット検索によると、本書は国立国会図書館、及び、東京都写真美術館などに所蔵されている。