銀紙書房通信 ひとり本

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4月に「マン・レイ受容史」復帰、と報告したものの、非常事態宣言発令などもあって図書館利用が不可となり、テキスト執筆が頓挫してしまった。内向きばかりの思考回路となって気が滅入ってましたが、そろそろ、復活。最初の一行だけでも書ければ、後はスムーズにすすむのだけど---いましばらくお待ちください。

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 さて、日常生活に負担をかけない少部数出版を心がけている小社でありますが、外出不可の間に、手作り本を作った原点を考えていました。わたしの「マン・レイ愛」に客観的な眼を持たせたい、一部でも二部でも他の人の眼が大切、流通が必要だとしてきたのですが、自主規制もしていました。本当に作りたいもの、本当の「マン・レイ愛」に直結するものは、なんだろうと自問したのです。

 自分のためだけの一冊であれば、自由に純粋に楽しめると思いました。加えて拙宅に集まった海外資料を読み込んでいないという反省がもたげました。マン・レイの人生について、もっと勉強したい、知りたいと、なったわけです。

 インターネットでの情報収集が充実し、海外での研究論文をPDFなどで読むことも可能となり、DeepLやGoogleを使った機械翻訳も精度が向上した。英語はもちろんだが、フランス語、イタリア語、ドイツ語に対してもトライできる。時間をかけずにおおまかな論旨は取り込める。ありがたい時代となったのである。そして、OCR(光学文字読取)の良いソフトを見つけ利用も始めた。---それまでは、テキストを打ち込み、機械翻訳、のちに「自分の言葉」といった流れだったので、東海道線鈍行から「のぞみ」に乗り換え、東京に向かう感じですね。

 下にお示しするフォーマットでの対訳の形式とし、図版を載せなく(手許の元版を開けばよいのです)作業しました。すぐに出来てしまいます。主にゲッティ研究所が出版したジェニファー・マンディの『マン・レイ: 芸術についての論説』を読みました。450頁ほどの大書ですが、なんとか、終わったのです。(時間はタップリありますから)、その後、いろいろな研究書や資料にトライしました。

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 PDFをモニターで見て読む作業は出来ない世代(加齢のためかしら)、紙の本にしてゆっくりマン・レイの考えを咀嚼したい、それでやっぱり、手作り本となるわけです。昨秋、ニューヨークでのマン・レイ油彩展のカタログでした作業を、効率アップの流れにそって3月から6月にかけて9冊も作ってしまった。明日は、いくつか紹介したい。

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