KG+ 45 マーガレット・ランシンク

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野口家住宅 花洛庵 9/26-10/7

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会場の京町家は亨保18年(1733)以来の呉服商のお宅、所在は油小路通四条上ル。発表作家のランシンクさんはアムステルダム近郊の村を拠点として活躍、2019年の便利堂「HARIBAN AWARD」で最優秀賞を獲得されている。コロタイプの紙面に金継ぎの技法が現れた表現は、彼女の娘との関係性が、修復される希望であるように思う。題して「無の境界線 ── 快方に向かって」。コロナ禍の影響で4月の展覧会は延期され、秋にあっても来日は叶わなかったようだが、京町家での展示は、彼女の作品に特別の時間を与えたと言える。空間に溶け込んで良い塩梅でした。

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『Vulnerable』

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Photobook『The Kindbess of One』

右の解説シートの数行「一個人がとったやさしさの行動の中に潜む測り知れないほど大きな可能性を、深くじっくり見つめている」。

 テキストにはリトアニアカウナスで逃げ場を失ったユダヤ人難民にビザを発給したオランダ領事ヤン・ズウァルテンダイクや杉原千畝の行動に触れている。なんと言えばよいのか--- このような言葉も「軽い気持ちの不注意な一撃は、そんなことになるなど想いもよらず他人の心を打ちのめしてしまうことさえある。同じように、無意識に放ったひと言が誰かに生きる喜びと今日この1日を生き抜こうとする勇気や力を与えることもある。心の奥底で渦巻く残酷さとやさしさはどちらも目に見えないものである」

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『Natsukashii』