南仏紀行-2 関西国際空港

2006年3月4日(土)

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わたしは助手席に座り前方を見ている。夜明け前の街は暗く、信号の色が溶けている。しばらくすると京都タワーの辺りから東の空が淡い青色に変化し始めた。寒い朝である。(10頁)

 

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売店は小さくなったが、透明性と連続性の原理でもたらされた一・七キロの長大な吹き抜け空間はレンゾ・ピアノ設計。九万平方メートルの連続した屋根の下に、ガラス・フェンスと部材サイズのコントロールによって視覚を運んでいく演出。国際線出発階と到着階の間に、国内線を挟み込むサンドイッチ・コンセプトとなっている。パリのポンピドゥー・センターの設計で知られるこの人は、待合いのベンチにフランスの伝統色から選んだ赤、緑、黄、青、オレンジの配色を使い、軽快なアクセントをもたらしている。(13頁)

 

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飛行機は十時五〇分出発予定のオランダ、スキポール空港行きの八六八便だが大型のフライトボードには十一時十五分と変更表示されている。(12頁)

 

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お洒落じゃない配色だ。冴えた青じゃなく濁った青、色のバランスからイルカの顔に見えてしまった。機首に「Ferrara City」機体後方にオランダ国旗と「PH-BQF」の表示。垂直尾翼は白地に青で大きくKLMのロゴと王冠マーク。(14頁)

 

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腕時計で確認すると離陸は十一時三五分。機体が陸地を離れる瞬間の浮遊感は気持ち悪いが、不思議な快感でもあった。(14頁)